第55回 豪快に手づかみで食べる、「五本の指」なるキルギスの伝統料理

右がインナさんで左がカザフスタン留学生のサウレさん。インナさんは祖父母の代からキルギスに住んでいるという
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 今年も行ってきました、「ツーリズムEXPOジャパン2016」。毎年、初秋に開催される世界最大級の旅の見本市で、全国各地、世界各国のグルメや文化を気軽に体験できる。今年は世界140カ国・地域の企業や団体が参加すると聞き、どんな発見があるだろうと、まさに小旅行に出かける気分で訪れた。

 まっさきにフードコートに足を向けると、そこにはやっぱり見知った笑顔があった。3年前にこのイベント(当時は「JATA旅博」)で出会ったパラグアイの母子だ(第10回参照)。毎年出店している彼らは現在、店を拡大移転してがんばっているという。揚げたてのエンパナーダ(南米でよく食べられているミートパイ)は相変わらずサクサクで美味しかった。

 腹ごしらえをしたところで各国のブースを見て歩く。実はお目当ての国があった。中央アジアにある遊牧民の国、キルギス共和国。今年4月に設立された政府観光局のホームページを見てから、ずっと気になっていたのだ。

「いまは純粋な遊牧民はほぼいないんですよ」と教えてくれたのは、政府観光局を委託運営していて、ツーリズムEXPOにも出展していた旅行会社のスタッフ。旧ソビエト連邦に属していたキルギスはその時代に行われた定住化政策によって遊牧の文化が薄れ、現在は夏の間だけ牧草地に移動する移牧がほとんどなのだという。

 そうなんだ……とちょっとがっかりする私に、「でも、遊牧民ならではの料理は健在ですよ」と言って、イベントのためにキルギスから来日していた女性を紹介してくれた。首都ビシュケクの旅行会社で働くインナ・キムさん。さっそく、ソウルフードについて尋ねると、インナさんは少し考えてから答えてくれた。

「ベシュバルマクですね」