第64回 ハロウィーンといえばカボチャ…ではなくあの野菜だった

「ハロウィーンは紀元前にアイルランドに移住してきたケルト人の風習にルーツがあります。その風習がやがて世界各地に伝わり、いまのようなかたちに変化していったのです」

 大使が話を続ける。どうやら、カボチャは原産地でもあるアメリカ大陸で、カブの代わりに利用されたのが広まったようだ。大使によると、アイルランドにおけるハロウィーンは日本のお盆のようなものだという。その歴史については、アイルランド伝承文学研究家の渡辺洋子さんが説明してくれた。

「自然と密接に暮らしていた古代アイルランドのケルト人は、季節の移り変わりを大事にしていました。10月31日から11月1日にかけてはサーウィンといって、一年を大きく夏と冬に分けた時の、夏の終わりを告げる日。冬は新しい生命の誕生へと向かう時でもあるため、これから訪れる冬を前にこの日までにすべての収穫を終わらせ、冬の食料となる家畜もほふって塩漬けや燻製にしました」

 5世紀頃になるとアイルランドにキリスト教が伝わり、サーウィンはキリスト教の「諸聖人の祝日」と融合していく。カトリックでは11月1日が諸聖人の祝日であり、そのイブにあたる10月31日はHallows Eve(Hallowは古い英語で聖人の意)、それが変化してハロウィーンと言われるようになったと渡辺さんは言う。

 しかし、その日の過ごし方は長く変わらなかったようだ。アイルランドではハロウィーン(サーウィン)の夜は収穫したリンゴやナッツを食べたり、そのリンゴを利用したゲームをしたりして過ごす。

 また、町の人たちと大きな焚火を囲む。焚火にはほふった動物の骨をくべていくのだが、これが英語で焚火を意味する「bonfire」の由来だという。季節を大事にするのは日本も同じ。でも、お盆とはちょっと違うのでは……と思ったらサーウィンにはもう一つの意味があると渡辺さんは言う。

収穫したリンゴはゲームにも利用する。水に浮かべて口だけで取る「アップル・ボビング」などが有名だ
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