第62回 所変わればパスタも変わる 深遠なるイタリアのパスタ文化

ジェノヴェーゼ・ペーストを使ったジェノヴェーゼ (c) De Agostini Picture Library
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 リガトーニは直径1~2センチの太い筒状のショートパスタ、ブカティーニは直径2~3ミリの細い管状のロングパスタだ。パスタは大きくロングとショートの2種に分けられる。明確な定義はないが、スパゲッティがロングでマカロニがショートといえばわかりやすいだろうか。

 いっぽう、アマトリチャーナは豚のほお肉の塩漬け、トマト、ペコリーノ・ロマーノという羊のチーズを使ったソースおよびパスタのこと。ローマと同じラツィオ州のアマトリーチェが発祥の地であることからこの名がついている。アマトリーチェといえば、2016年8月のイタリア中部地震で甚大な被害を受けた町だ。サンドロさんは、この名物が支援のカギにもなったのだと話す。

「地震の後、アマトリチャーナのパスタを食べて被災地を支援しよう、という運動が起こったんです。賛同したレストランでアマトリチャーナを注文すると一部が義援金になるというものです。ローマで始まった運動ですがイタリア全土はもちろん、世界各地に広がりました。日本でも数十軒の店が支援してくれたんですよ」

 アマトリチャーナがいかにその土地を象徴するパスタであることがよくわかる話だが、名物パスタ料理がその町の名を冠することはけっこうあるようだ。ジェノヴェーゼもそのひとつで、イタリア北西部リグーリア州の州都であるジェノヴァで生まれたもの。もっとも、ジェノヴェーゼとは「ジェノヴァの…」という意味で、日本でも知られる緑のソースを絡めたパスタは「ペスト・ジェノヴェーゼ」というジェノヴァ名物のバジルペーストを使っているという意味。単にジェノヴェーゼというと牛肉を煮込んだ茶色いソースを絡めたパスタを指す場合もあるらしい。う~ん、ややこしい。

 前回も述べたようにミートソースに似たボロネーゼも美食の町・ボローニャが発祥だし、ナスが入ったトマトベースのシチリアーナはナスの産地である南部・シチリアのパスタ料理だ。ただ、もはや周知だとは思うがナポリタンはナポリではなく日本生まれである。念のため、サンドロさんに聞いてみると、「食べたことがない」というお返事でした。

リガトーニ・アッラ・アマトリチャーナ。イタリア語で筋という意味のrigaからきているとおり、リガトーニには筋が入っている
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