第63回 所変わればパスタも変わる 深遠なるイタリアのパスタ文化

 イタリアのパスタの種類は500種とも600種ともいわれている。前回、イタリアのソウルフード「ラザーニャ」について探っていくなかで、こんな話を耳にして驚いた。もはや日本でも馴染みのあるパスタだが、種類をあげろと言われたらパッと浮かぶのはスパゲッティにマカロニ、ラザーニャくらいか。

 パイシートのようなラザーニャがパスタなのか。そう思う人もいるかもしれないし、私もそう思っていた。だから再度記しておくと、一般的にパスタとはセモリナ粉を中心とした小麦粉を水、時に卵や牛乳を加えて練り、茹でたり煮たりして食べるものを総称していう。そう言われるとたくさんありそうだが、500種なんて想像できない。

「イタリアには20の州があって、それぞれに違うパスタ文化があるんです」

 そう教えてくれたのは、在日イタリア商工会議所のサンドロ・フルツィさん。在日イタリア商工会議所はイタリアと日本の商業的な交易を促進するために、イタリアの企業をサポートしたり、イタリア文化を伝えるイベントを日本で開催したりしている非営利団体だ。ラザーニャについて話を聞きたいと問い合わせたところ、サンドロさんが応じてくれた。そして、パスタに対するイタリア人の熱に触れたというわけだ。

「イタリア人にとってパスタは特別で、ほとんど毎日食べます。少なくとも私の周りはみんなそうでした。だから、来日して7年ほどになるし和食も好きですが、何日もパスタを食べないと血の巡りが悪いような気がしてくる。それほど大切な食材なんです」

13歳の時に始めた武道で日本に興味をもったというサンドロさん。来日後も、月に1~2回はパスタを生地からつくっている
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 最近は炭水化物を抜くダイエットが流行っているが、私も米を食べないと元気が出ない。日本人でいう米のようなすごく身近な食べ物なんだろう。ラザーニャは正月など冬の行事で食べると言っていたサンドロさんだが、では普段よく食べるパスタは何なのだろうか。

「私はローマ近郊の町で生まれ育ちました。ローマ周辺でよく食べるのはリガトーニやブカティーニですね。一番有名なのはブカティーニ・アッラ・アマトリチャーナかな」