第62回 「ラザーニャ」はイタリアのマンマの味

 ここではイタリアの発音に近づけてラザーニャと呼ぶが、日本では「ラザニア」と言うのが一般的。そう、つまりミートソースやチーズ、生地が何層にもなった日本でもすっかりおなじみな料理だ。ずいぶん昔に放送されていた『宇宙船サジタリウス』というアニメのキャラクターの好物で、美味しそうに食べているのをうらやましく見ていた人も多いのではないだろうか。

 かく言う私もその一人。懐かしくなってさっそくほおばる。生地の間からあふれんばかりのミートソースは肉汁たっぷりでコクが深く、トマトの酸味がアクセントを添える。そのミートソースを包み込むような濃厚でまろやかなホワイトソース。チーズの風味も相まって、絶妙なバランスで口の中でとろけ合う。

 だがしかし、私がよく食べたラザーニャとはちょっと違う気がする。そう、ホワイトソースじゃなくて、とろけるチーズがのびるほどたっぷり入っていたはずだ。実は、イタリア料理はアメリカを経由して日本に普及したそうで、私の知るラザーニャはどうやらアメリカンスタイルらしい。

「私のつくるラザーニャはイタリアの正統的なスタイルです」と言いながらアントニオさんがつくり方を簡単に教えてくれた。

「まず、ボロネーゼ(ミートソース)をつくります。牛と豚の合い挽き肉をオリーブオイルなどで炒め、そこへみじん切りをしたセロリやニンジン、玉ネギを加えます。ワインで風味付けしたらカットトマトを入れ時間をかけて煮込み、味を調えて完成です。次にベシャメルソース(ホワイトソース)。バターを溶かしたフライパンに小麦粉を入れて焦がさないように炒めたら、牛乳をいれてとろとろのクリーム状になるまでゆっくりとかき混ぜまる。味は塩やナツメグで調整しています」

正統とされるボローニャ地方のラザーニャは正しくは「ラザーニャ・アッラ・ボロネーゼ」という。パルミジャーノ・レッジャーノを使うのも特徴のひとつだ
[画像のクリックで拡大表示]