第61回 豚肉だけどフルーティー、ハイチ料理の“グリオ”とは?

「グリオはハイチの国民的な料理ですよ」

 そう教えてくれたのはミホさん。ハイチ人のご主人・アレンさんとともに移動販売のハイチ料理店「CHERIE(シェリー)」を営む女性だ。再び看板に目をやると、「柑橘類でマリネし、一晩ねかせて揚げた豚肉」と説明がある。なんだか手が込んでいて美味しそうだ。私はグリオの弁当をいただくことにした。

 淡い赤紫色をした豆ごはんの上にゴロゴロと盛られた角切りのグリオ。その傍らには千切りにしたキャベツが添えられている。ほかほかと温かく、ボリューム満点で食べごたえがありそうだ。まずはグリオを一つ、ぱくりと口にした。

 表面はカリッとして香ばしい。油っぽさや水気は少なく、豚肉の旨みがギュッと凝縮されている。その味を楽しむために噛みしめると、柑橘類のフルーティーな香りがふわりと漂った。後味はすっきりとさわやかだ。

 CHERIEのグリオの作り方は企業秘密だが、一般的には豚肉を酢や塩などで洗ってからオレンジやライムといった柑橘類とエピスなどで下味をつける。エピスとはレモンやパセリ、玉ネギ、ニンニク、タイムなど何種類もの野菜やスパイスをミキサーにかけてつくる調味料のこと。一晩寝かして味をなじませた豚肉はまず炒め、それから揚げることでカリッと仕上げるという。家庭によって味付けは様々だというが、やっぱり手が込んでいた。

「わっ、辛い!!」

 突然、声を上げてしまったのは副菜のキャベツを口にしたからである。カツ定食に添えるようなシンプルなキャベツの千切りだと思っていたので、びっくりしてしまったのだ。すると、ミホさんが「唐辛子のハバネロで味付けしているんですよ」と笑う。辛いはずだよ……。でも、このピリッとさっぱりなキャベツがまた食欲を刺激する。

メニューはグリオのほか、バジルチキンと魚の3種類。お腹が空いていたのでついグリオとバジルチキンの盛り合わせを注文。左上がグリオ
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