第59回 チェコの“茹でるパン”ことクネドリーキの奥深き世界

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「いま、チェコ料理食べてるよー」という短いLINEが今回の魂食紀行の始まり。旧友が食事をしている時に、合流しないかと声をかけてくれたのだった。あいにく別件が入っていて行けなかったのだが、食事会にはチェコ出身の方も来ているという。そこで、チェコ料理について話を聞きたいと日を改めて紹介してもらうことにしたのだ。

 ちょうどチェコに興味を抱いていた時だった。今年は「日本におけるチェコ文化年2017」。第二次世界大戦により中断されたチェコとの国交が回復して60周年という節目にあたることから、チェコ共和国大使館が中心となって日本にチェコの文化を紹介するさまざまなイベントが催されている。

 チェコ出身の芸術家アルフォンス・ミュシャ(チェコ語でアルフォンス・ムハ)の集大成とされる《スラヴ叙事詩》20枚の一大連作を、チェコ国外で初めて展示したことで話題の「ミュシャ展」もそのひとつ。チェコ人のルーツであるスラヴ民族の伝承や歴史を描いた作品は、よく知られる華やかな女性像とはまた違った壮大な世界観で、私もミュシャの祖先への深い想いに静かに身をゆだねてきたところである(「ミュシャ展」は東京・国立新美術館で6月5日まで開催)。

 そんなわけで、話を聞く前にチェコ料理をちょこっと調べてみた。中欧の内陸国で冬は寒さが厳しいからか、メインは肉料理、煮込み料理が多いようだ。インターネットで画像も検索してみる。すると、あることに気づいた。メイン料理の多くに淡い黄色のパンのようなものが数枚添えられているのだ。

「なになに、クネドリーキというチェコ特有の……茹でるパン!?」