第66回 医者要らず?ケニア・カンバ族の食事情

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 東アフリカのケニアには42の部族がいるという。スワヒリ語と英語を公用語とするものの、部族はそれぞれの言語を持ち、文化や伝統も異なるそうだ。

「もちろん、料理も違いますよ」

 席についた私にフローレンス・スワ・マシューコさんが言った。私は東京・五反田の「Masyuko's Buffalo Cafe(マシューコウズ・バッファローカフェ)」に来ていた。日本では珍しいケニア料理の店があると聞いて訪れたのだが、入口の看板には「カンバ族の家庭料理」の文字。その意味を店主のフローレンスさんに聞いたのだ。

「私はカンバ族なので、カンバの料理を中心につくっているんです」と話すフローレンスさん。カンバ族はケニアの人口4725万人のうち11パーセントを占める五大部族のひとつで、国の南東部に分布しているという。数日前、予約の電話で「ソウルフードが食べたい」とは伝えていたのだが、部族によって料理が違うとは勉強不足だった。

「ただ、今日つくるソウルフードはカンバ発祥だけれど、他の部族もよく食べているんですよ。これもそのひとつ」。そう言ってフローレンスさんは私の前にコップを置いた。クリーム色をした飲み物のようで温かく、ほのかに甘い匂いがする。

ウソーはウジのほか、英語でお粥を意味するポリッジとも呼ばれている。
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「これはウソーです。飲んでみて」

 フローレンスさんに促されて飲んでみた。口当たりはどろりとしていて飲み物というよりお粥に近い感覚。レモンのさわやかな香りに、このまろやかな酸味は……ヨーグルトだ。そして、ピリッとしたショウガが胃を温める。これ、すっごく体に良さそうだなあ。

「コーンや雑穀、豆などの粉にヨーグルトと牛乳、ハチミツ、ショウガ、レモンなどをブレンドしています。カンバから他の部族にも伝わって、ケニア国内では一般的にウジと呼ばれています。栄養たっぷりなので、忙しくて食事をとる時間がない時でもこれを飲めば大丈夫。食事代わりにもなるケニアのパワードリンクです」