おそらくマルウンカの幼虫(カメムシ目:ビワハゴロモ上科)
Nymph of an 'issid' planthopper
正面から見たところ。星を散りばめたような模様がある。どこかカエルのような宇宙人のような~
体長:約5 mm 撮影地:モンテベルデ、コスタリカ
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 5月末のある日の午後。外に干してあった洗濯物をプラスチック製の大きなタライに取り込んで、家の中に入ろうとしたときのことだ。洗濯物の上を、5ミリほどの小さな昆虫の幼虫が歩いているのに気が付いた。

 ビワハゴロモの仲間の幼虫だろうか(第7回第17回を参照)。見た目がカエルというか「宇宙人」ぽいというか、なんだか愛嬌があるので、ぼくは写真を撮りたくなった。ビワハゴロモ系の幼虫は、スグにピョ~ンとジャンプしてどこかへ行ってしまうため、近くに寄って撮影するのが難しい。撮れるかな~?

 落ちていた枯れ枝に幼虫を乗せて様子を見てみる・・・枝の上を歩いていて、飛び跳ねる様子はなさそうだ。幼虫が乗った枝を持ったまま、部屋からそっとカメラを取ってきた。左手に枝、右手にカメラを持って撮影開始!

 幼虫はチョコチョコ、ヨチヨチと枝の上を移動しては、止まることを繰り返している。止まっているときが、シャッターチャンス。

枯れ枝の上に佇むビワハゴロモ上科(おそらくマルウンカ)の幼虫の背面。
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次は横から。ビワハゴロモ上科(おそらくマルウンカ)の幼虫。
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 止まった幼虫が足をモゾモゾやっているので、動画も撮影してみた。どうやら脚の手入れをしている様子だ。

【動画】脚の手入れをするビワハゴロモ上科(おそらくマルウンカ)の幼虫
左前脚と中脚をこすり合わせ、キレイキレイしているところ。ハサミのないカニのようにも見える。

 幼虫は枝の上を行ったり来たり。手の上に乗ってこないよう、ぼくは枝を持ち替えては撮影を繰り返す。幼虫がジッとしている姿が、枝が分かれている部分になんとなく似ているので、そんな写真も撮ってみた。撮れた~っと思った瞬間、ピョン! 幼虫は一瞬にして視界から消えたのである。あちゃ~。

枝の上を歩いているビワハゴロモ上科(おそらくマルウンカ)の幼虫。脚が長い。
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 幼虫の翅が出来上がってきていたので、終齢幼虫だったに違いない。撮影後、飼育して一体どんな成虫になるのか確認してみたかったのだが、もういない。写真撮影をちょっと欲張り過ぎてしまったようだ。反省。

 撮れた幼虫の写真を専門家に送ってみると、おそらくマルウンカの幼虫ということだった。ちなみにぼくが知っているマルウンカの幼虫(第16回)とは、だいぶ雰囲気が違う。ハッキリしないので、ぼくの脳もスッキリしない。また幼虫にお目にかかれる日を祈りつつ。

最近(2017年6月26日)、家の周りで見つけた脚の長いマルウンカの成虫。翅を広げているところ。体長は7 mm.今回紹介した幼虫の成虫が、このマルウンカである可能性もなくはないので紹介。でも、多様性がとてつもなく高い熱帯コスタリカなので可能性はかなり低い。
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西田賢司

西田賢司(にしだ けんじ)

1972年、大阪府生まれ。中学卒業後に米国へ渡り、大学で生物学を専攻する。1998年からコスタリカ大学で蝶や蛾の生態を主に研究。昆虫を見つける目のよさに定評があり、東南アジアやオーストラリア、中南米での調査も依頼される。現在は、コスタリカの大学や世界各国の研究機関から依頼を受けて、昆虫の調査やプロジェクトに携わっている。第5回「モンベル・チャレンジ・アワード」受賞。著書に『わっ! ヘンな虫 探検昆虫学者の珍虫ファイル』(徳間書店)など。
本人のホームページはhttp://www.kenjinishida.net/jp/indexjp.html

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