第118回 野菜農園で出会った「デカイ」ツノゼミ

ハイフィノエ・ヴルペクラ(カメムシ目:ツノゼミ科:Darninae亜科)
A treehopper, Hyphinoe vulpecula
撮影地:モンテベルデ、コスタリカ
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 ぼくが住むモンテベルデのバイオロジカルステーションから500メートルぐらい下ったところに野菜農園がある。ぼくは月に2~3回、そこへ新鮮なプチトマトや葉もの野菜を買いに行く。

 野菜を買うついでに、昆虫探しもすることにしている。野菜農園の周りには、バイオロジカルステーションでは見かけない植物が生えていて、違った昆虫たちの顔を見ることができるからだ。

 そんな植物のひとつに、農園の周りの一角を覆うように生えている蔓(つる)性のウリ科のものがある。このウリ科の植物を観察すると、いろんなカメムシの仲間が葉や茎から汁を吸っていたり、花にハリナシミツバチが来ていたり、チョウやハチ、ジョウカイボンなどが葉の上にとまっていたり、葉に潜るハエの幼虫がいたりと、たくさんの昆虫たちを目にする。この植物、虫たちに大人気!

 今回紹介するツノゼミに出会ったのもこのウリ科。前回紹介した『鞍馬天狗』ツノゼミを探していたとき、昨年の年末のことだった。

野菜農園の周りにウリ科のつる性植物が覆うように茂る。矢印のところに、今回のツノゼミがいた。
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 最初は、『鞍馬天狗』ツノゼミかと思ったが、なんか違う・・・ 色や大きさは似ているが、頭の上の大きく膨らんだツノの両端が尖るように伸びている。ツノが2本あるようにみえる。

 もう1匹見つけた。今度は、かたちは同じだが色が緑がかっていて、さらにデカイ! 頭から翅の先まで15ミリはありそうだ。ちなみにツノゼミのほとんどは、10ミリにも満たないので、これは「通常」のツノゼミの2倍はある感じ。

 両方とも採集して、ぼくが共著した書籍『熱帯アメリカのツノゼミ』で調べてみると、『鞍馬天狗』ツノゼミと同じ属のハイフィノエ・ヴルペクラという種のオスとメス(デカイほう)であることが判明した。

 そして先日、アメリカのスミソニアン博物館のツノゼミの専門家、マケイミー博士(Dr. Stuart McKamey)とメールでやり取りしていたら、オスとメスで色が違うハイフィノエ属の種は、これまでにきちんと報告されていないと教えてくれた。

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ハイフィノエ・ヴルペクラのオス。白いどんぶりに入れて、正面から撮影。
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ハイフィノエ・ヴルペクラのオス。白いどんぶりに入れて、真横から撮影。体長は約10 mm。
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ハイフィノエ・ヴルペクラのメス。茎にとまって汁を吸っているところ。太陽光がツノを通り抜けていて、ツノの中が空洞になっているのが、ある程度わかる。
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ハイフィノエ・ヴルペクラのメス。真上から見たところ。体長は約15 mm。
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