第117回 育ててみたら『鞍馬天狗』ツノゼミになった

ハイフィノエ・アスファルティナ(カメムシ目:ツノゼミ科:Darninae亜科)の幼虫
Nymphs of Hyphinoe asphaltina treehopper
体が半透明なので、脱皮して終齢幼虫になったばかりなのだろう。写真右奥にもう1匹いる。
体長:約7 mm 撮影地:モンテベルデ、コスタリカ
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 あるツノゼミの幼虫を飼育観察してみることにした。

 きっかけは2008年の9月に出会ったツノゼミの幼虫(上の写真)。地を這うように生えているウリ科の植物の茎にいたのだが、ぼくはこのとき写真を撮っただけで、飼育はしなかった。どのツノゼミの幼虫なのかも、わからないままだった。

 その後、数多くのツノゼミと出会うなかで、ウリ科の植物で成虫が確認されたのは3種。その中からぼくは、幼虫の形や大きさ、住んでいるウリ科の種などを総合的に検討して、写真の幼虫はハイフィノエ・アスファルティナ(Hyphinoe asphaltina)であろうと予想した。

 でも多様性の高い熱帯では予想が外れることがしばしば。きちんと確認しないと間違ったままの「単なる思い込み」になってしまう。最近、再びその幼虫に出会うことができたので、こんどは飼育観察してみることにした。

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最近出会ったハイフィノエ・アスファルティナの幼虫。ウリ科の一種の葉の付け根にいた(矢印)。ギザギザした小さな芽か若葉に見える。
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上の写真の幼虫の接写。植物の汁を吸っているところ。頭の上の尖ったツノは前胸背(ぜんきょうはい)と呼ばれ、中には成虫のツノが収められている。
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成長した幼虫。ツノの部分と翅の色が赤茶に変色している。次の脱皮で、羽化(翅が伸びること)と「ツノ化」(ツノが伸び膨らむこと)が起きて成虫になりそうだ。
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成熟した幼虫を正面から見たところ。たいてい茎の分かれ目や葉と茎の間でじっとしている。
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