第139回 ツノゼミの立派なツノが出てくる瞬間
前回は、ツノに4つのコブがあるヨツコブツノゼミの成虫を紹介した。ただし、その立派なツノは、生まれたときからあるわけではない。羽化して成虫になって初めて『タケコプター』を頭に載せたような姿になる。では幼虫はどんな姿をしているのだろうか?
今回は、ヨツコブツノゼミが幼虫から成虫になるまで、そしてツノが出てくる瞬間を、写真や動画で紹介する。さらに、どうしてツノがあんなかたちをしているのか、「昆虫探偵ニシダ」の考察を綴ってみよう。
生まれてすぐは平べったい
まずは、生まれてそれほどたっていないだろうヨツコブツノゼミの若齢幼虫。体長は1~2ミリほどで、体が比較的平らなことに気づく。
その後、数回の脱皮を繰り返し、3~4ミリほどの亜終齢から終齢幼虫になると、体の中でツノの準備をしているのだろう、頭の上が盛り上がって三角形、もしくは「少しおにぎり形」になってくる。幼虫たちの居場所は、成虫と同じく葉の裏側。ただし成虫が太い葉脈のあちこちにいるのに対して、幼虫は葉の付け根の脈と脈の隙間にいることが多い。
幼虫の殻が割れてツノがニョキニョキ
終齢幼虫が脱皮すれば、いよいよあのツノをもつ成虫のお出ましとなる。羽化の瞬間を観察・撮影するため、幼虫たちを採集してきて飼育することにした。毎日のように幼虫たちの様子をうかがう。「元気にしているか~? 植物(餌の状態)は大丈夫か?」
ヨツコブツノゼミは、夜中から早朝にかけて羽化することが多い。寝る間も惜しんで幼虫たちと向き合っていたある夜、その瞬間は訪れた。午前2時過ぎのことだ。