第151回 1月の庭先に咲く花、飛び回る昆虫たち

ユウトレシス・ディルシダ(タテハチョウ科:マダラチョウ亜科:トンボマダラ族)
Smoky tigerwing, Eutresis dilucida
トンボマダラチョウ(スカシマダラチョウ)の1種。キク科のアゲラタム(Ageratum)花にやって来ていたところ、飛び立つ瞬間を狙って撮影した。この種の生きた個体の写真は極めて珍しい。コスタリカからパナマ西部にかけて分布する。
前翅長:約48 mm 撮影地:モンテベルデ
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 遅ればせながら新年明けましておめでとうございます。
 本年もどうぞよろしくお願いいたします!
 2018年もみなさまにとってワクワクドキドキたっぷりの1年になることを願っております。

 前回紹介し、飼育を始めていたハバチの幼虫たちはその後、どうなったかというと、飼育袋の中で少しずつ姿を消し、シダの根っこの土や朽木の隙間で繭をつくった模様。現在(1月14日)のところ、成虫は出てきていない。無事にサナギになっていることを願いつつ、飼育ネットに霧吹きで水をかけてやる毎日。いつどんな成虫が現れるのか、ドキドキワクワクしている。

おそらくサナギになったであろうハバチをビニール袋からメッシュ状の飼育ネットに移した(写真中央)。風通しを良くして外の環境に似せ、カビなどが生えないように調整する。ちなみに右の袋では、ムクロジ科の植物に虫こぶを形成するハモグリバエを飼育している。こちらも中南米初の記録だ。
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 一方で、飼育していた別のハバチが今日、羽化して成虫となった(次の写真)。心がハズむ♪ 今回の飼育で、このハバチがマタタビ科の植物で生育することが判明したのだが、これも中南米で初めての記録だ。

マタタビ科の葉を食べていた幼虫を飼育して、出てきたハバチの成虫。翅をブーンと羽ばたかせて飛ぶ準備をしているところ。体長は約10ミリ。ハバチの専門家、スミソニアン自然史博物館のスミス博士(Dr. Dave Smith)は、マルハバチ亜科のワルドヘイミア(Waldheimia)属の1種だと言う。
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 さて、モンテベルデの1月は、日本ほどではないが意外と冷える。日中の気温は17~20℃と、低いわけではないけど、風の強い日が続いている。東から西へと分単位で天気が流れ、雨だと思ったら晴れたり曇ったり。風で体温が奪われてしまう。

 そんな天候の中、ヒルガオやサルビア、キクの仲間など、さまざまな花が家の隣の庭で咲き始めた。それに合わせて、ハチやチョウなどが蜜を求めて花から花へ飛び回っているのをよく目にする。こんなに強い風の中よく飛ぶな~と感心しつつも、その姿を写真に収めた。

 今回は、モンテベルデの風の強いこの季節、庭先で飛び回る昆虫たちの姿をご覧ください。

キアノペプラ・シンティランス(トモエガ科:ヒトリガ亜科:カノコガ族)
Day-flying tiger moth, Cyanopepla scintillans
昼行性のガ。キク科のアゲラタム(Ageratum)の花にやって来た。かなり警戒心が強く、少しの物音に反応して俊敏に逃げていく。息をひそめて近づき、飛ぶ瞬間をとらえた。前翅長は約15ミリ。
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セセリチョウの1種(セセリチョウ科)
Skipper butterfly
アメリカハマグルマというキク科の黄色い花から、隣に咲いている花へと移動するところ。小型のセセリチョウの仲間数種がこの時期この花によくやって来る。前翅長は約12ミリ。中南米の小型のセセリチョウの分類の研究はあまり進んでいないのが現状だ。
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トリゴナ・フルビベントリス(ミツバチ科:ハリナシミツバチ亜科)
Stingless bee, Trigona fulviventris
「お腹」がオレンジ色をしたハリナシミツバチの1種がシソ科のサルビアの花にやって来た。名前の通り、針は持っていない。庭の木のうろに巣を構えていて、あちこちでたくさん飛んでいる。メキシコからコロンビアまで分布。体長は約8ミリ。
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ヒゲナガハナバチの1種(ミツバチ科:ミツバチ亜科)
Eucerini long-horned bee, female
ヒルガオ科の花に次々と潜っては出てくるヒゲナガハナバチのメス。オスの触角は長い。毛や後脚に付着している白い粒々はヒルガオの花粉。体長は約12ミリ。
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ヒゲナガハナバチの1種(ミツバチ科:ミツバチ亜科)
Eucerini long-horned bee, female
サルビアの花から花へとせわしなく飛び移っていくヒゲナガハナバチのメス。上の写真とは別の種で、体長は約10ミリ。中南米のヒゲナガハナバチの同定は、標本を持ってしても容易ではないそうだ。
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ポリステス・メジャー(スズメバチ科:アシナガバチ亜科)
Paper wasp, Polistes major
アシナガバチの1種がクマツヅラ科のホナガソウの「穂」の先から飛び立つ瞬間。『スーパーマン』のようだ。花ではなく「穂」の先から分泌される「ヤニ」のような成分をなめにやって来る。体長は約22ミリ。
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次のページは、<今週のピソちゃん、綱渡りをする>です。

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