第4回 初期人類に高度な文明? 白公山の鉄パイプ

ツァイダム盆地はアルチン山脈、チーリェン山脈、クンルン山脈などに囲まれた乾燥地帯。中央部をチベット自治区のラサまでつながる青蔵鉄道が走る。南部には、チベット高原の隆起にともない太古の海が干上がってできた多数の塩湖がある(写真:Jan Reurink)
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 中国・青海省のツァイダム盆地は、西域へと通じるシルクロードの南に広がる乾燥した高原地帯。南部には中国最大のチャルハン塩湖をはじめとした大小の塩湖が点在し、今では無機塩類などの鉱物資源の豊富な供給地となっている。その近郊にある白公山というところで、20年ほど前に奇妙なものが見つかった。

 恐竜の化石を探していた調査団が、山腹の洞窟や塩湖の周辺で多数の鉄パイプのようなものを見つけたのだ。太さ数センチの細いものもあるが、たいていは直径50センチほどの太い鉄パイプで、人工物なのか自然にできたものなのか判別ができなかった。

 何年もの間、当局はこの奇妙な発見を気に留めなかったが、2002年ごろから、その起源についての関心が次第に高まってきた。北京の地質研究所が分析したところ、15万年前のものとみられるという。この地に人が定住したのは約3万年前で、人類が鉄の精錬を覚えたのはほんの数千年前のことだから、これらは自然物としか考えられない。

 しかし、その特異な形状は自然の物とは考えにくい。もし鉄パイプが人工物であるとすれば、作ったのは高い知性を持つ生き物のはずだから、地球外生命体に他ならないという人々も現れる。そうでないとすると、これほどの技術を持つ初期の人類がいたが、その能力は後の世代に一切受け継がれることなく途絶えたということになる。

 あまりにSFじみているので、もう少しまっとうな説を考えてみよう。地球の内部から噴き出した鉄のマグマが、中空のパイプ状に固まってできたのだろうか。それとも鉄の堆積物が水に浸食されて溝ができ、特徴的なパイプ形状になったのだろうか。いずれも無理がありそうだ。それに地質学的な現象であるなら、世界の他の地域で類似のものが見つかっていてもよさそうだ。

化石化した木の幹か根だという説もある。専門家の分析ではパイプの内側に少量の植物由来の物質があり、年輪のような特徴もあるという。ただ、外観があまりに人工的で、本当に自然のなせる業なのか釈然としない。
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 結局これまでのところ、この鉄パイプができた経緯は分かっていない。誰、あるいは何が作ったのかも、正確な年代も不明だ。大きなミステリーであることは間違いない。

 2007年にパイプの一部が強い放射線を出していると報じられ、ますます謎は深まった。パイプが自然現象でできたのではなく、万一、人工的に製造されたものだとすれば、我々の歴史観は根本的に覆ることになる。

ルーマニアにも「場違いな人工物」

 よく似た事例が、ルーマニアで1974年に起きている。トランシルバニア地方のアイウッドの近くで、地面を掘っていた労働者たちが驚くべきものを見つけた。10メートル以上の深さに埋まっていた化石群の横に、加工されたような大きな金属の塊が埋まっていたのだ。

 分析の結果、金属塊はアルミニウム製であることが判明した。アルミニウムが生産されるようになったのは、つい150年くらい前のことだ。それが絶滅した大型哺乳類の骨が埋まっていた1万年から2万年前の地層で発見されたのである。

最も有名なオーパーツの一つ、バグダッド電池。1930年代にドイツ人考古学者のビルヘルム・ケーニッヒが発見した。果実の汁などを入れると弱い電流が流れることが確認されたという。
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 こうしたオーパーツ(場違いな人工物)と呼ばれる遺物は世界中に数多い。しかし、たいていは科学的に(場違いでないことが)説明可能で、誰かが作為的にミステリー仕立てにしたものが多い。有名なバグダッド電池(紀元前後に栄えたパルティアの遺物。金メッキに使われた初期の電池ではないかといわれている)も、最近は、本当はただの書類保管用の壺だったという見方が強い。

 とはいえ、超古代文明やUFOといったミステリー界の定番に関して、オーパーツは「目で見え手で触れる」ことのできる数少ない物証。見ているだけで古代や宇宙へのロマンが広がるという人は多いことだろう。頭ごなしに否定せず、「もしかしたら」という気持ちで想像をめぐらしている方がずっと楽しみが増すのではないだろうか。

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