第6回 だから火山研究は面白い

 駆け足で、火山噴火の物理と予知について教えてもらった。

 火山を理解するためのサイエンスと、噴火予知という社会的に重要な防災分野を、火山の研究者は股にかけることが要求される。防災科学技術研究所に所属する藤田さんは、まさにサイエンスと応用を常に意識しなければならない立場だ。

 では、藤田さんは、どのような道筋で火山に興味を持ち、この世界に入ってきたのだろうか。お医者さんなら「人の命を救いたい」とか、生物学者なら「生き物が好き」とか、天文学者なら「星が好き」など、様々なことが想像できるのだけれど、火山物理の研究者というのは何に惹かれるのだろうか。これまた素朴な疑問だが。

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「僕はもともと理系の分野に興味があって、静岡と鹿児島で育ったっていうのもあるんで、そういった言い方をすると非常にわかりやすい説明になりますね」

 幼い頃、富士山を見上げて育ち、高校時代は鹿児島の桜島を見ながら学んだ。火山灰に悩む鹿児島のおじいさんが「桜島にフタをできないか」と言っていたのが印象的だそうだ。

 とはいえ、藤田さんはこうも言う。

「僕が育った頃って、理系の友達は、お医者さんになる人が多かったんです。医学部指向がとても強かった。でも、僕は医学部には興味がなくて、むしろ、教科としては、ジオグラフィー、地理とか好きで、子どもの頃からよく地図とかを見ていたというのはあります。あと噴火の時に溶岩が、赤くドロドロと流れてくるというのは、興奮するというか……」

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 このあたりで、藤田さんの目の輝きが変わったように思う。ソフトにしかし熱をこめて話す藤田さんだけれど、こういうくだりを語る時、それこそ、子どもの頃、「昆虫が好きで……」「星が好きで……」と回顧する動物学者や天文学者と同じように、幼い頃の目の輝きを宿すのである。

「大学に入って、たしかに、地質とか鉱物とかに行く可能性はあったと思います。でも、そっちには行かなかった。ほんのちょっと微妙なズレなんですけど。そうじゃなくて、地球物理学科というところに行きまして、流体力学の方程式をたてて現象を再現、解釈できるっていうのが面白いと思ったんですね。今、数値シミュレーションをしている根っこもそのあたりにあるわけです」

 そして、さらに、藤田さんは、フィールドの魅力を語る。