第2回 予知できる噴火、できない噴火

 火山の噴火は怖い。

 できればないほうがいい。

 とはいえ、日本列島に住む限り、目を逸らして済むものでもない。

 ならば、むしろ今分かっている基本的なことは知っておきたい。それこそ、地面の下をのぞき込むみたいに。

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 防災科学技術研究所の総括主任研究員、藤田英輔さんの専門は火山物理学。まさに適切なガイドである。

 火山といえば地学で、物理学は物理だろう! と高校の教科の感覚でいるとおかしなかんじがするかもしれないが、「物理学」はどんな学問にだってくっつくことができる特性がある。生物物理学もあれば、経済物理学だってある。なにか探究の対象を物理的な過程として解明しようとしたとき、あらゆる分野に物理学が誕生する。

「火山を研究する者としては、物理屋と地質屋って、自分たちでは呼んでますけど、大体2通りのアプローチがあるんです。その中で、私は物理的なアプローチをする方に入っています。地震とか地殻変動の観測をもとにして、地面の下で何がどう起こっているのかというようなことを考えていく。そして、最終的には噴火の予知ですね。そちらのほうに持っていきたいというのが、基本的な考え方です」

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 というふうに藤田さんは、自らの立ち位置を述べた。

 では、具体的にどんなことをして、何を理解しようとするのだろう。

「マグマ溜まりって聞いたことがありますか。火山によって違うんですけど、まず地下数十キロくらいの深いところでマグマが溜まる場所ができて、マグマはまわりよりも軽いものだから、浮力で上がってきます。それが、だいたい深さ5キロから10キロの間ぐらいのどこかで釣り合って滞留するところがあって、箱根にしても桜島にしても、常時、そのあたりにひとつマグマ溜まりがあるんです。それから、それがもっと上がってくると1キロとか、もうちょっと浅いところに小さなマグマ溜まりができて、そこまでいくと、噴火に近くなるわけです」

 高校の地学の教科書にそういう図が出ていたかもしれない。地下深いマグマの池みたいなものから、火道が伸びて火口に至るみたいなやつ。

 ここは、観測点が多く、最近もニュースで取りあげられることが多かった箱根で具体的に見ていこう。藤田さんは、時系列になったグラフを画面に出して指さした。