第8回 世紀のチャンス、大ピラミッドの頂上へ登る

〈再び、こんな機会が訪れるとは……〉

 ギザ台地の北端に立ち、その巨大な建造物を見上げると、感慨に打たれずにはいられなかった。2015年3月、私は再び、TBS「世界ふしぎ発見!」のTVクルーと共に大ピラミッドに登る機会を得たのだった。

北東の角から見上げる大ピラミッド。(写真提供:河江肖剰)
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 2年前、様々な縁に恵まれ、大ピラミッドの北東の角、地上から80メートルに位置する奇妙な「窪み」と、その奥に続いている「洞穴」の撮影に同行させてもらった。その後、Structure from Motionという技法を使い、その場所の映像データから3D(3次元)モデルを作り、ピラミッド内部の石組構造の手掛かりを得ることができた(この時の詳しい話は、「第5回 3Dモデル生成、舞台裏の奮闘」、「第6回 研究課題との縁」に書いた)。

 この手法と解析結果はフランスとポーランドの国際会議で発表し、話題を呼んだ。しかし、調査のため撮影された映像から作ったものではなかったために、完成した3Dデータには欠損箇所があった。さらに、考古学の写真には必ず入れる、サイズなどの基準を示すためのスケールやノースアロウ(真北を示す矢印ツール)も入ってはおらず、水平器も置いていなかった。

 つまり、このデータには考古学の研究をする上では必要な情報が不足しており、さらに新しい手法で作った3Dモデルであったため、どこまで精度があるのかも分からなかった。現場に再度訪れて、データの検証をする必要があったが、ピラミッドに登る許可は学術目的だけでは取るのが難しく、テレビ局など様々なステークホルダーを絡ませなければならなかった。

 そのような機会はもはや訪れることはないだろうと思っていたが、再び巡ってきたのである。それも今度は、頂上137メートル(完成時は146.59メートル)まで登り、頂上部分のデータも取ることになったのだ。

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