第3回 ビッグバンの決定的証拠、宇宙マイクロ波背景放射

WMAP、さらにその先

 COBEが成功してからというもの、地上にある望遠鏡や気球に機材を搭載したいくつもの実験が、宇宙マイクロ波背景放射のごく狭い領域を詳しく調査した。2001年、より大きなミッションを担った人工衛星ウィルキンソン・マイクロ波異方性探査機(WMAP、ダブルマップ)をNASAが打ち上げた。WMAPは7年にわたって運用され、この宇宙の揺らぎを今までにない高解像度、高感度で測定した。その測定結果を現在受け入れられている宇宙進化モデルに当てはめたWMAPチームは、初期と現在の宇宙に関する数々の重要な特徴の数値を求めることができた。

宇宙背景放射探査機衛星(COBE、コービー)によって得られた歴史的な画像。超銀河団など宇宙の大規模構造ができた謎を解き明かす、宇宙マイクロ波背景放射のさざ波(揺らぎ)を初めてとらえた。(NASA/COBE)
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 この探査機のデータは、ハッブル宇宙望遠鏡が導いた膨張宇宙モデルと非常に近く、宇宙の年齢をだいたい137億年と推定した。また、現在の宇宙を構成するエネルギー比率については、「通常の物質」が4.6%で、あとはダークマター(暗黒物質)が22.8%、そして72.6%がダークエネルギー(暗黒エネルギー)であるとした。

 一方、宇宙マイクロ波背景放射が放射された時代の宇宙の構成比率は、通常の物質が22%(ニュートリノ10%を含む)で、あとは電磁波15%、そしてダークマターが63%であるとし、明らかにダークエネルギーは無視できることが示された。

 2009年に欧州宇宙機関(ESA)が、宇宙マイクロ波背景放射のより詳しい地図を作成するためにプランク宇宙望遠鏡を打ち上げた。宇宙論学者たちは今後も、宇宙誕生の謎がさらに解き明かされることを待ち望んでいる。

ビジュアル大宇宙 [上] 宇宙の見方を変えた53の発見

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ジャイルズ・スパロウ

ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンで天文学を、インペリアル・カレッジ・ロンドンでサイエンス・コミュニケーションを学ぶ。作家やコンサルタント、寄稿者などさまざまな立場で、数多くのポピュラー・サイエンス関連書籍に関わる。