PHOTO ARK(フォト・アーク)プロジェクトとは?

 皆さんはもちろん、パンダやトラ、ゾウ、ライオン、ゴリラ、カバ、サイといった動物を知っていますね。しかし、これらの動物はすべて、絶滅の危機にあることをご存じでしょうか。

 野生のパンダはもはや中国の森にしかいませんが、中国政府の調査によると、2013年末時点でその数わずか1864頭。またトラは、20世紀初頭には10万頭いたといわれますが、現在は約4000頭前後にまで減少しています。他の動物も、国際自然保護連合(IUCN)が作成する「絶滅のおそれのある生物種のレッドリスト」に名を連ねています。

 そんな希少な存在であるはずの動物たちの姿を、なぜ私たちはよく知っていて、身近に感じるのでしょう。それは、動物園に行けば会うことができるし、その「写真」や「映像」が身のまわりにあふれているからです。

ジャイアントパンダの子ども。危急種。(JOEL SARTORE/NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK)

 よく知っている身近な動物が、この世界から消えてしまうと思うと、淋しく、悲しい気持ちになるはずです。パンダやトラなどは、その危機が広く知られるようになってからは、保護活動も盛んになり、一部の地域では生息数の回復も見られるようになりました。

 一方で、私たちの知らないところでは、私たちがまだ知らないたくさんの動物たちが、消えゆこうとしています。

 ならば、世界中のすべての動物たちを写真に収めて、みんなの“顔見知り”にしてしまおう。まずは写真を見てもらい、動物たちの美しさや不思議さ、愛らしさを知ってもらう。そうして人々の関心を高めれば、動物たちを救えるかもしれない――。

 そんなふうに考えたのが、写真家のジョエル・サートレイです。そしてナショナル ジオグラフィックと一緒に、「PHOTO ARK(フォト・アーク)」プロジェクトを立ち上げました。「ARK(アーク)」とは「箱舟」の意味。地上のあらゆる動物を救おうと巨大な箱舟をつくった、聖書に登場するノアのように、動物たちを救うための「写真の箱舟」というわけです。

箱舟に乗った最初の一匹、ハダカデバネズミ。低危険種。(JOEL SARTORE/NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK)

 この箱舟に乗った最初の動物は、ハダカデバネズミでした。スタートから10年が経ち、サートレイが撮影した動物の数は6000種を超えています。6000番目は、シンガポール動物園で撮影したテングザルです。撮影を行うのは、主に動物園と水族館。スタジオ写真風に背景を白や黒にして撮るのは、どんな動物も同じ条件で見せたいからだそうです。

シンガポール動物園で撮影したテングザル。絶滅危惧種。(JOEL SARTORE/NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK)

 世界で保護・飼育されている動物の数は、およそ1万2000種といわれています。これらすべてを撮影しようというサートレイの挑戦はまだまだ続きますが、半分の6000種を撮影した段階で、その一部をまとめ上げた写真集が『PHOTO ARK 動物の箱舟 絶滅から動物を守る撮影プロジェクト』です。

 そのほか、月刊誌「ナショナル ジオグラフィック日本版」でも、特集記事や特製ポスター付録などに、このプロジェクトで撮影した写真が使われています。まずはそれらをご覧いただくことで、動物たちを救う箱舟の漕ぎ手の一員となってください。