本書の内容

「極限高地」は、孤高の文化が残る最後の聖域

標高4500メートルの高地で暮らす人々がいる。
チベット、アンデス、エチオピアの3カ所は、人間にとって限界に近い高地だが、その地に暮らし、独自の文化を育んできた人々がいる。 一般的に高地は酸素が薄く、植生に乏しく、人が暮らすには向かない土地だ。だが、この3カ所は恵まれた自然条件や、長年かけて培った知恵によって、人々が暮らすことができた。しかも、低地にはない独自の文化を築き、奥深い伝統を保っている。
高地の独自性に魅かれ、この3地域をめぐった写真家、野町和嘉が、極限の地の生活と雄大な自然を活写する。

  • 最新の取材の成果をまじえた新作を多数収録。
  • エッセイ、地図も掲載。
  • 長年の取材による、立ち入り困難な地域や、今では失われてしまった貴重な姿も収録。

作品紹介(画像クリックで拡大)

東チベット、標高4000メートルの草原に建造されたアチェンガル僧院。中州の大集落は尼僧の僧坊。手前に点在するのは瞑想小屋。中国四川省、カンゼ、2014年

トチャと呼ばれる化粧をした遊牧民の娘。紫外線や乾燥から肌を守る効果がある。中国チベット自治区、カイラス、1990年

コイユリーテの巡礼で、標高5000メートルの氷河に十字架を立てるために登ってゆく、ウクク(熊)と呼ばれる男たち。ペルー、2004年

1年ぶりにセニョール・デ・コイユリーテ(キリスト像)と再会して感極まった女性。ペルー、2004年

孤絶した岩窟僧院で暮らす修道女。修道生活を始めて以来30年間、下山したことがないという。エチオピア、ティグレ、1996年

アブナ・イマータ教会。15世紀に描かれたと伝えられる天井画。円内の人物像は十二使徒のうちの8人と、イエスの弟ヤコブ。エチオピア、ティグレ、2012年

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著者紹介


撮影/榎並悦子

野町和嘉(のまち・かずよし)
1946年、高知県生まれ。過酷な風土を生き抜く人々の営みと信仰をテーマとして、世界各地を訪ね記録している。写真展、写真集、講演などを通じ、世界で広く活躍している。
1972年のサハラ砂漠取材を皮切りにアフリカを取材。各国での雑誌掲載、写真展、写真集出版を通して広く話題を呼んだ。1978年に初の写真集『サハラ』を5カ国で出版。1982年、米「LIFE」誌に掲載されたナイルの記事により全米報道写真家協会年度賞銀賞。1984年、写真集『バハル』『サハラ悠遠』により、第3回土門拳賞受賞。1980年代にはエチオピアを集中的に取材。1987年、米「ナショナル ジオグラフィック」誌に写真が掲載される。1980代後半より中近東、アジアに重点を移し、とりわけ1988年の中国取材を契機としてチベットに注目するようになる。1995年、招かれてメディナ、メッカのイスラーム2大聖地を取材。
2000年代以降はアンデス、インドにも取材範囲を広げる。2009年、紫綬褒章受章。2014年、国際的な写真家活動により、日本写真協会国際賞を受賞。
主な写真集に『長征夢現』『ナイル』『チベット』『地球へ!RIFT VALLEY ODYSSEY』『メッカ巡礼』『地球巡礼』など多数ある。

<Webナショジオ・インタビュー>
野町和嘉 ―極限高地へ尽きぬ思い―