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自分の結婚式で、焚火の周りを歩くムスカーン(仮名)。14歳のムスカーンは、父親に命じられて結婚後に学校を退学した。(PHOTOGRAPH BY SAUMYA KHANDELWAL)

インドに残る児童婚の風習、背景に根強い貧困、写真8点

2018.05.08
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 手と顔には鮮やかな黄色いウコンが塗られ、髪の生え際には朱色の粉末で筋を引く。香辛料の色と香りで、今から結婚式が始まろうとしていることがわかる。あるいは、終わったばかりかもしれない。主役の少女たちは、自分の体に塗られた香辛料が何を意味しているかは理解できても、結婚とは何かを理解するにはあまりにも若すぎる。

 インドのニューデリーを拠点に活動する、ロイター通信社の写真家サウミャ・カーンデルワル氏(27歳)は、当の少女たちから話を聞いた。彼女たちは、自分ほど幸運ではなかったと、カーンデルワル氏は語る。

 カーンデルワル氏は、タージ・マハルのあるウッタル・プラデーシュ州の州都ラクナウで生まれた。子どもの頃、インドに児童婚の風習があることは知っていたが、実際にそれを経験したという人は、周囲にはいなかった。だが、ラクナウから約200キロ離れたシュラーバスティーでは、8歳の幼い少女たちが、家族の意思で結婚させられている。ここはネパールとの国境沿いにある貧しい地区で、同じ州内とはいえラクナウとはまるで世界が違う。

【ギャラリー】インドに残る児童婚の風習 写真8点(写真クリックでギャラリーページへ)
花嫁衣装を着るムスカーンを手伝う親戚たち。新郎のラジュ(仮名)は、ムスカーンよりも7歳年上だ。(PHOTOGRAPH BY SAUMYA KHANDELWAL)

 2015年、カーンデルワル氏は小さな花嫁たちの写真を撮るため、ニューデリーとウッタル・プラデーシュ州を行き来するようになった。「もしシュラーバスティーに生まれていたら、私もこの少女たちのひとりになっていたかもしれません」と語る。

 法的には、インドで児童婚は認められていない。1929年に、この風習を違法とする法律が定められ、2006年に更新された。現在、女性は18歳以上、男性は21歳以上でなければ合法的に結婚できない。これに違反して、結婚させたり、結婚を許可した親や年上の配偶者は、最高2年の懲役刑に処せられる。

 この10年間で児童婚の数はかなり減少したが、今でもインドは児童婚の数が世界一多い。児童婚撲滅に取り組む団体「ガールズ・ノット・ブライズ」によれば、インドの女の子の4分の1以上が、18歳になる前に結婚しているという。

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