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紫外線に浮かぶ花々、見たことのない妖艶な姿 写真17点

2018.02.28
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 写真家クレイグ・バロウズ氏が撮った花々の写真を見ると、まるで映画『アバター』の世界に入り込んだように感じるだろう。浮かび上がる花びらは黒い背景と鮮やかなコントラストをなし、あちこちに蛍火のような光の粒が散らばっている。

 これらの写真は作り物ではない。そこに写し出されているのは、科学の目で見た花の姿だ。(参考記事:「【動画】青くきらめく生物「海のサファイア」」

 こうした不思議な色彩の作品は、彼がUVIVF(ultraviolet-induced visible fluorescence、紫外線誘発可視蛍光)と呼ぶテクニックを用いて撮影したもの。紫外線を照射したときに被写体が発する蛍光をとらえた撮影手法だ。

 つまり写真に映っているのは、実際に被写体自体から放射されている光である。たとえば遊園地などで、紫外線を照射するブラックライトを使った施設に入ると、自分が着ている白いTシャツが光って見えたという経験がある人もいるだろう。(参考記事:「【動画】蛍光に光るウミガメを発見、世界初」

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ナシ(PHOTOGRAPH BY CRAIG BURROWS)

「手軽に撮影できるタイプの写真ではありません」とバロウズ氏は言う。撮影する際には通常、被写体となる花を金属のスタンドに載せ、遠隔シャッターを使って10~20秒間露光させる。シャッターが開いている間、バロウズ氏はじっと息を止めている。空気がわずかでも揺れたり、花びらが動いたりすれば、被写体にぶれが生じてしまうからだ。

 こうした手のかかる手法だからこそ、花は魅力的な被写体となる。「花は逃げ出したりしませんから」とバロウズ氏は笑う。バロウズ氏はこの先、花一輪ではなく、場面全体を入れた写真を撮影することを目指している。

 作品の仕上がりは予測できないことが多いが、経験上、ヒナギクやヒマワリのような集合花は、特に花粉が明るく光る傾向にあるとバロウズ氏は言う。最も驚かされたのはキュウリで、その花は明るいオレンジと青に輝き、花粉が非常に強い光を放つそうだ。被写体を探すとき、バロウズ氏は携帯ライトを持って家の近所を歩き、花を照らしてまわるという。

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サンザシ(PHOTOGRAPH BY CRAIG BURROWS)

 岩やサンゴ、甲殻類まで、自然界には紫外線を受けて蛍光に光るものが少なくない。ただし、それが実際に何の役に立っているのかについては、まだ研究の途上だ。研究者らは、花粉を媒介する虫たちを誘導するのに役立っているとの仮説を立てているが、まだはっきりしていない。(参考記事:「色鮮やかに光るサンゴを発見、深い海なのになぜ?」

 バロウズ氏の元には、教育イベントでの作品展示やUVIVFを使った写真講座などの依頼が寄せられている。バロウズ氏はしかし、自身の写真によってもたらされる最大の利点は、この写真がどうやって撮影されるのか、物理的な過程を知りたいという人が増えることだと考えている。

「紫外線や赤外線を利用した写真が教えてくれるのは、ふだん我々の目に見えなくとも、自然の中でとても大切な役割を担っているものが存在するということです」とバロウズ氏は言う。「まだ気づかれていなかったり、軽視されていたりするものを探し続けることの大切さを、我々に思い出させてくれるのではないでしょうか」(参考記事:「色の見えない人々が住む太平洋の島 写真13点」

【この記事の写真をもっと見る】紫外線に浮かぶ花々 写真あと14点

文=AUSTA SOMVICHIAN-CLAUSEN/写真=CRAIG P. BURROWS/訳=北村京子

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