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カイアウとヒゲサキの子ども。男の子がサルをペットにすることはほとんどないため、おそらく飼い主は家族の女性だろう。ブラジル、アワ族の村ポスト・アワで撮影。(PHOTOGRAPH BY CHARLIE HAMILTON JAMES, NATIONAL GEOGRAPHIC)

子ザルとアマゾン先住民 母ザルの狩りから始まる絆の物語

2017.12.18
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 数年前、ペルーのアマゾンで先住民マチゲンガ族の村を撮影していたチャーリー・ハミルトン・ジェームズ氏は、珍しい光景を見かけた。(参考記事:「自然と人間 ペルー 先住民たちの豊かな森へ」

「村の子どもたちは、毎日みんなで川に水浴びに行くのですが、その際に私たちのキャンプを通っていきます。その中の一人、ヨイナという女の子は、いつも小さなセマダラタマリン(サルの一種)を連れていました。しかし、このサルは水が嫌いなのです。タマリンは、とても不安そうにヨイナの頭の上に座り、そこで震えていました。頭の上にサルを乗せて何気なく歩き回る人を見たのは初めてだったので、とても気になりました。タマリンにとって、ヨイナの頭の上は安心できる場所のようでした」

 ヨイナとタマリンの写真は、ハミルトン・ジェームズ氏のお気に入りの一枚となった。それ以来、「サルと一緒にいる人の写真を撮ることに、少しばかりこだわりを持つようになった」という。

ヨイナとセマダラタマリン。ペルー、マヌー国立公園で撮影。(PHOTOGRAPH BY CHARLIE HAMILTON JAMES, NATIONAL GEOGRAPHIC)

 ペルーやブラジル東部のアマゾンを訪れたとき、別の先住民グループにも同じような慣習があることがわかった。サルの種類は違っても、人、それも主に女性の頭に乗る点は変わらない。そして、その背景には驚くべき話があることもわかった。次のような話だ。

「サルと一緒に写真を撮ったのは、すべて森で暮らす人々です。森では、サルはとても重要な食料なのです。狩りは弓と矢を使って行います。子連れの母親だった場合、母ザルが死んで木から落ちてくると、子ザルもくっついてきます。母ザルの死体を回収するとき、子ザルはペットとして飼われることになるのです」

「子ザルと新しい“親”との間には、強い絆が生まれます。通常、飼い主となるのは村の女性です。子ザルは、この新しい母親が行くところならどこにでもついていき、ほとんどを飼い主の頭の上で過ごします。成長したサルは、独り立ちして人々の間を動き回るようになりますが、それでも飼い主との固い絆が切れることはありません」

ガジエリーと、その家族のペットのオマキザル。小さなタマリンを除けば、ハミルトン・ジェームズ氏が見た多くのサルはひもにつながれていた。ただし、村の中では放し飼いにされていた。ブラジル、マラニョン州のアワ族の村ティラカンブで撮影。(PHOTOGRAPH BY CHARLIE HAMILTON JAMES, NATIONAL GEOGRAPHIC)

「始まりこそ残酷ですが、人とサルの間の愛情や絆は、アマゾンの先住民たちと自然界との深い関係の象徴です。私が写真に撮ろうとしてきたのは、まさにその点なのです」

【この記事の写真をもっと見る】人とサルの絆を写すポートレート 10点

文=Alexa Keefe/写真=Charlie Hamilton James/訳=鈴木和博

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