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キューバのジャルダン・デ・ラ・レイナ(女王の庭)諸島で、カメラの近くを泳ぐペレスメジロザメ。(PHOTOGRAPH BY SHANE GROSS, NATIONAL GEOGRAPHIC YOUR SHOT)

息をのむような美しさ! 海洋保全を熱く訴える、水中写真15点

2017.11.11
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「水中の世界と水上の世界の間。それこそ、息をのむような写真が生まれる場所です」

 そう話すのは、写真家のシェーン・グロス氏だ。子供のころから海洋保全に強い関心を抱いていたグロス氏は、海で生活したいと願っていた。海洋生物学へ向かっていた彼の道のりは、やがて写真へと転じる。「愛する動物たちに近づくには、写真のほうがよいと気づいたからです」

 現在、グロス氏はバハマでダイビングのインストラクターをしながら、年間を通して写真撮影を行っている。ナショナル ジオグラフィックのネイチャー写真コンテスト「2017 National Geographic Nature Photographer of the Year」にも参加した。(参考記事:「激写!海の狂騒に鳥もイルカも グランプリ作品撮影秘話」

「地球が直面しているさまざまな問題に圧倒されているのは、私だけだとは思いません。しかし、持てる技術と情熱を海洋保全に注ぐことで、小さな変化を起こせると信じています。それが私を突き動かしている力です」

キューバのジャルダン・デ・ラ・レイナ(女王の庭)諸島で撮影したアーティチョークコーラルというサンゴの接写。(PHOTOGRAPH BY SHANE GROSS, NATIONAL GEOGRAPHIC YOUR SHOT)

 グロス氏はいつも、撮影にあたり緻密な計画を立てる。撮影する動物や環境を深く理解するために、ロケに出るときは研究者が同行することが多い。キューバのジャルダン・デ・ラ・レイナ(女王の庭)海洋保護区を訪れたとき、今までにない視点でサメを撮影したいと考えた。そこで、カメラを岩に固定して海面を向け、タイマー付きリモコンを使って撮影した。

「サメは臆病というわけではありませんが、ダイバーから1.5メートルほどの距離をおきたがります。だから、その範囲には入らないようにしました。サメを怖がらせるダイバーがいなければ、カメラに興味を持って近づいてくるかもしれないと考えたのです。思い描いていたものとは違いましたが、実際に撮れたのはそれ以上の写真でした」(参考記事:「世界水中写真コンテスト、多彩な受賞作13点」

 ワニの接写に成功したときは、実際に水に入るかなり前から計画を立て始めた。「水に入る6カ月ほど前に準備を始めました。だから、マングローブの森で最初にワニを見たときには、もうすっかり興奮していましたよ」とグロス氏は振り返る。水面で反射するワニの姿をとらえた印象的な写真。それに必要だったのは忍耐力だ。

水面に反射したアメリカワニの写真。キューバのジャルダン・デ・ラ・レイナ(女王の庭)海洋保護区にて。2時間以上かけてゆっくりと近づいて撮影した。(PHOTOGRAPH BY SHANE GROSS, NATIONAL GEOGRAPHIC YOUR SHOT)

「ワニはとても臆病な生きものです。私の存在が気にならなくなるまで、2時間ほどかけてゆっくりと近づきました。数枚の写真を撮ったとき、ボートにいた人たちがもう時間だと叫びました。水中で撮影していて、好きなだけ時間をかけられたことなんて一度もありません」

 グロス氏の次の計画は何だろう。現在、取り組んでいるのは、カリブ海に住むナッソーグルーパーという魚だ。絶滅危惧種(endangered)に指定されているにもかかわらず、カリブのレストランではおなじみのメニューだという。2017年11月には、研究者のチームとともに産卵スポットとして知られる場所に赴く予定だ。

「昨年も挑戦したのですが、産卵を見ることはできませんでした。代わりに見つけたのは、グルーパーがたくさん入った違法な罠です。今年は、私(とグルーパー)に幸運が訪れることを祈っています」

【参考動画】最速のサメを撮影するには?
写真家のブライアン・スケリー氏は、アオザメを「歯が生えた魚雷」と表現する。この優秀なハンターを撮影する秘訣をアニメーション付き動画で紹介。(解説は英語です)

 写真を通じて海洋生物のことを広く伝えたいというグロス氏の情熱は今も変わらない。「食べている魚が今後も持続可能な種なのかどうかわからない人や、自分の食事の影響について考えたことがない人は、ぜひこれを警鐘ととらえていただきたいのです。皆さんがスーパーマーケットやレストランでものを買うことによって、とても大きな影響が生まれているのですから」(参考記事:「絶滅から動物を守る撮影プロジェクト」


【この記事の写真をもっと見る】フォトギャラリー:息をのむ水中写真15点


文=Sarah Polger/写真=Shane Gross/訳=鈴木和博

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