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ニシツノメドリ(パフィン)のくちばしからはみ出した小魚。この鳥はこれからひな鳥にエサをやりに行くところ。(PHOTOGRAPH BY SUNIL GOPALAN, NATIONAL GEOGRAPHIC YOUR SHOT)

魚をくわえまくったパフィン、子どもの元へ

2017.11.08
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「とにかく鳥ばかり撮っています」と語るのは、昼間はコンピューター・エンジニアとして働く撮影者のサニル・ゴパラン氏。このほど、ナショナル ジオグラフィックのネイチャー写真賞「Nature Photographer of the Year 2017」に素晴らしいパフィンの写真を応募した。

「これまでにアラスカで2種類のパフィンの仲間(ツノメドリとエトピリカ)を撮影していたので、もう一つ、撮りたいと思っていたのが、このアトランティック・パフィン(=ニシツノメドリ)だったのです」(参考記事:「【動画】かわいい! 癒やしの鳥パフィンが足元に」

ニシツノメドリは大ぶりのくちばしで大量の小魚をくわえることができる。(PHOTOGRAPH BY SUNIL GOPALAN, NATIONAL GEOGRAPHIC YOUR SHOT)
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 ニシツノメドリは大西洋の両岸で見られるが、自分はなるべく人の少ない場所で撮影したいと考えていたとゴパラン氏は言う。しばらく調べた結果、スコットランド北部、シェトランド諸島の小さな島であるフェア島を行き先に決めた。

 シェトランド諸島のウェブサイトには、ここは「鳥、編み物、歴史ある難破船」で有名な土地だとある。フェア島は自然が美しい島だが、現地へ行くにはフェリーに4時間乗るか、小型の双発機で飛ぶしかないため、訪れる人はそう多くない。

 ゴパラン氏は米国からグラスゴーを経由してシェトランドのサンボローへ行き、そこで小型機に乗り込んでパフィン天国へと向かった。滞在中はほぼ好天続きだったが、雨が降ったある朝、彼はいつもと少し違う写真を撮る機会に恵まれた。ゴパラン氏が朝食をとろうと考えていたそのとき、雨に濡れそぼったパフィンが、ごちそうを口にくわえて現れたのだ。

 今だとばかりに、ゴパラン氏は次々と写真を撮った。その成果が、くちばしに小魚をたっぷりくわえて、ひな鳥のところへ向かうパフィンをとらえた一連の作品だ。

ニシツノメドリは大西洋の両岸で見られる。写真はスコットランド北部で撮影。(PHOTOGRAPH BY SUNIL GOPALAN, NATIONAL GEOGRAPHIC YOUR SHOT)
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 ニシツノメドリは一生の大半を海で過ごし、繁殖コロニーを作るためだけに、春から夏にかけて陸に戻る。くちばしは冬の間、鈍い灰色をしているが、春が来ると鮮やかなオレンジ色に変わる。(参考記事:「ヘンなくちばしをもつ鳥、写真12点」

 ゴパラン氏がフェア島を訪れた7月、雌のニシツノメドリたちはすでに、北大西洋を望む岩がちな崖の上に卵を産んでいた(通常は1つの巣に1つずつ)。この時期、親鳥たちは大きなくちばしで捕らえた小魚を交代で持ち帰り、ひな鳥に与える。

 非常に機敏に飛び回るニシツノメドリは、水かきの付いた足を船の舵のように操って水中を泳ぎ、60メートルの深さまで潜る。ニシンやイカナゴなどの小魚を捕り、1分間に400回羽ばたいて巣へと飛んで帰る。(参考記事:「“癒しの鳥”パフィンの越冬地がついに判明」

【参考ギャラリー】癒やしの鳥 パフィン(2014年6月号) 写真7点(写真クリックでギャラリーページにリンクします)

 ニシツノメドリのようなスピードのある鳥を撮影するのは容易ではない。ゴパラン氏が彼らを特に好んで撮影するのはまさしくそのためであり、彼はできるだけ多く旅に出て、世界中で新たな動物をカメラに収めたいと考えている。そうしてまた、お気に入りの作品をナショナル ジオグラフィックの写真コミュニティ「Your Shot」に投稿するのだ。ゴパラン氏は言う。「ナショナル ジオグラフィックは自然愛好家にとって金字塔のような存在です。バックナンバーを眺めては、どんな気持ちで取材に行くのだろうと想像しています」

 Your Shotは、志を同じくする他の写真家たちとつながりを持つのにとても良い写真コミュニティだとゴパラン氏は言う。「そこには向上心を持って写真を撮り続けるうえで欠かせない刺激があります。ネイチャー写真賞は私たちが目指す最高のゴールです」

ナショナル ジオグラフィック日本版2014年6月号

特集「癒やしの鳥 パフィン」を収録しています。
北大西洋にすむニシツノメドリ(パフィン)。何カ月も海のかなたへ姿を消すが、春の繁殖期には陸地に戻り、そのおどけた顔で人々の心を和ませる。

文=Austa Somvichian-Clausen/訳=北村京子

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