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朝の光の中で、さわやかな1日が始まる写真10点

2017.05.26
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カナダ北東部ニューファンドランド島のセント・ジョンズの郊外に、北米大陸最東端の岬、ケープ・スピアがある。(この記事はナショナル ジオグラフィック日本版2017年6月号に掲載されたものです)

 写真家として駆け出しの頃、大西洋から昇る朝日の写真が撮りたくて、私は早起きをしてこの岬に足を運んだ。しかし連日の雨と霧で、なかなか思い通りの作品を生み出せなかった。

 8日目の朝、ようやく雲ひとつないクリアな空が広がった。水平線の真上で輝く朝日が、大海原に巨大な光の帯をつくる。そこに数隻の漁船がシルエットで入り込む姿は美しく、涙が出るほど感動した。同時に、いま眺めている朝日は、北米大陸で暮らす誰よりも早く目にしていると気づいたとき、贅沢な気分を味わったのだった。

 この日から「朝の光」がたまらなく好きになった。どの国を旅しているときも決まって4時に起き出し、宿を出発してフィールドに向かった。

クロアチア ドブロブニク AM6:53
(Photograph by Kazutoshi Yoshimura)
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ソロモン諸島 トエレグ AM6:41
(Photograph by Kazutoshi Yoshimura)
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 聖母被昇天教会がもやに包まれるブレッド湖の朝、礼拝を呼びかけるアザーンが流れるイスタンブールの朝、人々がガンガーで沐浴をするワラーナシーの朝、大通りを埋めつくすほどのバイクが走る台北の朝、そして東日本大震災に見舞われた宮城の朝──。

 そんな個性あるいくつもの朝の表情にカメラを向けていたら、いつの間にか、朝という時間と人の心の繋がりを強く意識するようになっていった。朝日が昇る頃に活動を始める人たちは、不思議と足取りが軽やかで、全身からはつらつとしたオーラが漂ってくるのだ。

ベトナム ハノイ AM6:39
(Photograph by Kazutoshi Yoshimura)
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カナダ カルガリー AM9:43
(Photograph by Kazutoshi Yoshimura)
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 そして私自身も、朝の清潔感ある光に抱かれていると、昨日まで感じていた心の悩みや戸惑いがフッと消え去り、今日も一日頑張って生きてみようという活力のようなものがみなぎってきた。

インド デリー AM7:04
(Photograph by Kazutoshi Yoshimura)
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 この地球上にはたくさんの国があり、人々の言葉、文化、宗教、習慣は異なっている。しかし、朝はどこにでも、誰にでも平等に訪れ、ほのかな温かさをもった黄金色の光は、すべてを明るく、優しく照らしていく。

 夜明け前に起き出し、朝の光を全身で受けとめ、感じてみる。もしかしたらこれが、最も簡単で贅沢な時の過ごし方なのかもしれない。

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