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サンタ・クルス・デル・イスロテ島という、世界で最も人口密度の高い島で、色鮮やかな家の前を走り抜ける少女。(PHOTOGRAPH BY CHARLIE CORDERO)

世界で最も人口密度の高い島、写真26点

2017.10.18
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 イスロテ島(正式名称サンタ・クルス・デル・イスロテ)は、南米コロンビアの沿岸の町カルタヘナから船で2時間の距離にある島だ。写真家のチャーリー・コルデロ氏は、この小さな、ひどく混み合った島のことを知ると、たちまち夢中になった。

 厳しい環境条件の下で工夫して生活している人々にいつも引きつけられるというコルデロ氏にとって、イスロテ島は大変魅力的だった。この島では、十分な水、食料、電気が手に入らないにもかかわらず、野球場一つ分(約1ヘクタール)ほどの土地に45家族、97戸がどうにか暮らしている。これは米国ニューヨーク、マンハッタンの人口密度の約4倍だ。(参考記事:「香港にひそむ貧困、1畳間に暮らす人たち 写真22点」

ぎゅうぎゅう詰めの道で、踊って祝日を祝う島の人びと。(PHOTOGRAPH BY CHARLIE CORDERO)
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「この島についてわかっていたのは、人にほとんど知られていない沖合にあって、住民らはここを離れることなどまったく考えていない、ということだけでした」。コルデロ氏は、この小さな離島で、人々がどのように暮らしているのか、彼らの日常生活、習慣、伝統を知りたくなったと言う。「知る価値のある場所だと思いました」

 この撮影プロジェクトの最初の写真が、今年の8月、ニューヨーク・タイムズ紙にインタビューと共に掲載された。そこには島の住民がひしめくように暮らす様子が写っている。コルデロ氏によれば、この島がこんなふうに混み合うようになった経緯は、まるでおとぎ話のようだという。

「150年前、イスロテ島はカリブ海の真ん中に浮かぶ、面積1ヘクタールもない小さな無人島でした。カルタヘナやトルなどの港町からこの付近に来る漁師が、漁の合間に休み、嵐から身を守るためにここを利用していました」と話す。

イスロテ島は、コロンビア、モロスキージョ湾の沖合に位置する小島。広さは約1ヘクタールと野球場ほどだ。(PHOTOGRAPH BY CHARLIE CORDERO)
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 周りの海は、珊瑚が豊富でよい漁場だったため、次第に人が集まり家を造るようになった。彼らが結婚し、子どもが生まれると、いくつもの家族が隣り合って家を建てた。(参考記事:「カリブ海のサンゴが危ない!」「豊かなサンゴ礁に魚の「尿」が不可欠、漁で打撃も」

 最初の移住者(現世代の祖父母や曽祖父母たち)は、陸と海を探し回って建築資材を手に入れた。「貝殻、ココナッツの殻、近くの島から運んだ木の幹、砂、ごみまで使って、島を埋め立て、建設を続けました」

 ますます多くの人が住み始め、いとこや兄弟、友人を呼び寄せた。漁と仕事のために人がやって来た。

「ある日、セメントでできた十字架、スペイン語で『クルス』が潮に乗って流れ着きました。最初の移住者たちがこれを拾い上げ、島の中心に立てました。それまで名前のなかった島は、その日から『サンタ・クルス・デル・イスロテ』と呼ばれるようになったのです」

アルヴァーロ・デ・ホヨスさん(47歳)は、漁のほか、トル、リンコン、ベルーガスなどへの船旅の案内を請け負っている。(PHOTOGRAPH BY CHARLIE CORDERO)
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海に囲まれたこの島に砂浜はない。男子の多くは、家族のもとにとどまり、漁業で生計を立てることを選ぶ。(PHOTOGRAPH BY CHARLIE CORDERO)
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 人口は着実に増えているものの、この島の生活は厳しい。海産物には恵まれているが、それ以外の食べ物と日用品はすべて船で運んでこなければならない。島には飲料水を作る手段もない。以前はコロンビア海軍が水を運んでくれていたが、この数カ月は供給がなく、島民は雨水を桶に溜めて飲み水やシャワーに利用している。島の学校は10年生までしかないため、勉強を続けたければ、島外まで通学するか、完全に家を離れるしかない。男子の多くは、家族のもとにとどまり、漁業で生計を立てることを選ぶ。(参考記事:「スコットランド、最果ての島に住む若者たちの選択15点」

ファン・ディエゴさん(17歳)は、この島で生まれ、学校に通っている。兄弟が7人いる。将来は大学に行きたいが、今は家族の漁業を手伝っている。(PHOTOGRAPH BY CHARLIE CORDERO)
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バリオ・エル・ボルシージョに住むルセロさん(29歳)。島出身で一番のスタイリストのひとり。空いた時間には、島出身のほかの女性たちのヘアカットや編み込みを手伝う。(PHOTOGRAPH BY CHARLIE CORDERO)
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 コルデロ氏の目標は、この撮影プロジェクトを年内に終わらせることだ。この島でのクリスマスや誕生日の祝い方、住民の埋葬の仕方など、まだ撮っていない大切な場面があるという。(参考記事:「インドネシア 亡き家族と暮らす人々」

 イスロテ島には墓地がないため、亡くなった人は近隣の島に埋葬される。「この島の生活は、まだ当分私を驚かせてくれるでしょう」とコルデロ氏。「ここはまるで、作家ガルシア・マルケスの本から抜け出してきた場所のようです」

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