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砂岩で作った顔料でジュリアさん(右)の顔をペイントするニキさん。森の生活共同体「ワイルド・ルーツ」の敷地を流れる小川で撮影。(PHOTOGRAPH BY MIKE BELLEME)

森の教えにしたがい暮らす、小さな生活共同体 写真14点

2017.05.23
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 2007年、1組の男女とその友人たちが米国ノースカロライナ州の森で小規模なキャンプを始めた。やがてキャンプは彼らの家となり、さらに1つのコミュニティーに発展した。

 これが「ワイルド・ルーツ」の成り立ちだ。ワイルド・ルーツはノースカロライナ州西部の森にある生活共同体で、いくつかの原則に従ってつくられた。その原則とは「自由に生きる」、「無駄を出さない」、「常に学び続ける」だ。約12ヘクタールの土地に集団で暮らし、食事をし、水浴びをし、生きていくための「アーススキル」を駆使している。自分たちの知恵で何でも作り、知らないことがあれば、森に教えを請うという生活だ。

バークロッジと呼ばれる小屋の横でポーズを取る18歳のニコさん。ニコさんは2013年の夏をワイルド・ルーツで過ごした。当時は最年少の住人だった。(PHOTOGRAPH BY MIKE BELLEME)

 ワイルド・ルーツの創始者はトッドさん。反体制派でもなければ、発展した社会を恐れているわけでもなく、ただ嫌悪感を抱いているだけだ。「われわれはばかばかしいほど膨れ上がった社会のぜい肉を食べて生きているんです」。コミュニティーの住人たちが時々、スーパーへ「ごみ箱あさり」をしに行くことについて、トッドさんは写真家のマイク・ベレム氏にこう説明する。森ではドングリやクリを収穫し、おかゆの材料にしている。(参考記事:「捨てられる食材で5000人に食事、米NYで」

このアヒルたちは比較的新しい住人で、初めての家畜でもある。農業に適した土地ではないため、食事のほとんどはスーパーの廃棄物、車にはねられた動物、狩猟者からの寄贈品、野生の動植物でまかなっている。2015年10月撮影。(PHOTOGRAPH BY MIKE BELLEME)
トッドさんがシカの頭から舌を取り出している。このシカは野生動物専門の肉屋で譲ってもらったものだ。肉屋のごみ箱がいっぱいになったら、ワイルド・ルーツに連絡してもらうように決めている。舌と脳、目玉、骨はシチューやスープになり、皮もはいで利用する。2011年12月撮影。(PHOTOGRAPH BY MIKE BELLEME)

 ベレム氏が初めてコミュニティーを訪問したのは2009年。12~14人ほどが暮らしており、皆が歓迎してくれたが、共通の哲学というものが存在しないことにベレム氏は興味を抱いた。社会規範への反発や環境保護を目的としたほかのコミュニティーと異なり、ワイルド・ルーツには共通したビジョンはない。彼らにとって居心地が悪いのは、箱のような家に閉じ込められたり、社会から疎外されたり、拒絶されたりすることだ。もし共通点があるとすれば、ただ学びたいという気持ちだとベレム氏は考えている。(参考記事:「27年一度も人と接触せず、ある森の「隠者」の真相」

 2011年、森での生活にすっかり慣れたトッドさんは手に入る材料だけで、屋根に樹皮を張った山小屋を建て始めた。木を削って釘にし、オークの木で梁をつくり、ユリノキの幹から樹皮をはがした。しかし、完成後間もなくトッドさんはこの家を放棄した。一帯の濃霧が原因でカビが発生し、別の家に移らざるを得なくなったのだ。

トッドさんがガールフレンドのタリアさんと暮らすために建てた家。丸太の柱で骨組みをつくり、壁には赤い粘土と砂、水、わらの混合物を塗り重ねた。屋根にはユリノキの樹皮を葺いている。じめじめした場所に建ててしまったため、完成後、間もなく放棄された。2011年10月撮影。(PHOTOGRAPH BY MIKE BELLEME)

 トッドさんは当初、土地で獲れる物だけを食べることを理念としていたが、考えが甘いかもしれないとすぐに気付いた。自然が失われていることで、一帯の動物の数も減少していたのだ。時折、狩猟者たちが森に立ち入るのと引き換えに、余分に捕まえた獲物をコミュニティーに置いていく。とはいえ、いつもごちそうにあり付くことができるというわけではない。ベレム氏が訪れたときは、住人たちは1頭のクマから肉を取った後、脳と舌、目玉を煮込み、保存食として容器に入れていた。ベレム氏も味見をしたという。(参考記事:「【動画】珍事!車に戻ったら中にクマが」

 森での暮らしに不便は付き物だ。テクノロジーのない生活は自由だが、同時に、社会からの隔絶を意味する。そのため、一部の住人は週に1度、トラックで近くの町へ行き、公共図書館のコンピューターで家族に電子メールを送ったり、ニュースを読んだりしている。肉屋を訪ね、廃棄される部分を譲ってもらうこともある。(参考記事:「『電気があると睡眠時間が減る』は本当か」

リンジーさん(中央)をリーダーに、夕食の準備をする住人たち。朝と晩、摩擦熱を利用して火を起こす。無料で手に入るものであればほとんど何でも食べるそうだ。2015年10月撮影。(PHOTOGRAPH BY MIKE BELLEME)

 ベレム氏によれば、ワイルド・ルーツは10年弱で、小さな生活集団から教育的なコミュニティーに成長したという。現在はウェブサイトを開設し、事前に連絡すること、病気でないことを条件に、訪問者も受け入れている。現地では、料理や鍛冶、木工を体験できる。

 コミュニティーに序列がないということは、誰でも学び、教えることができ、誰にも成功あるいは失敗の可能性があるということだ。ただし、ある季節が来ると、誰が最も献身的かが試される。冬になると、集団が小さくなるのだ。コミュニティーに残るのはトッドさんだけということもある。

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文=Daniel Stone/写真=Mike Belleme/訳=米井香織

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