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【ギャラリー】女性と子どもだけになった村、南米コロンビア高地、写真10点(写真クリックでギャラリーページへ)

カゴを背負い、山刀を掲げた先住民女性。村人たちは狩猟と小さな畑で生活を続けている。(PHOTOGRAPH BY IVÁN VALENCIA)

女性と子どもだけになった村、南米コロンビア高地、写真10点

2018.03.28
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 コロンビア北西部の山岳地帯。ゲリラがうろつく道を、最寄りの町から3時間歩いた先に、ラ・プーリアの村はある。そこでは先住民のエンベラ・カティオ族が100人ほど暮らしている。彼らの言葉で「エベラ(ẽberá)」とは、人間、土地の人、男性を意味する。

 しかし、ここに男性はひとりもいない。

 コロンビアで数十年間続いた内戦に、ラ・プーリアは蝕まれている。一部の男たちは、二大左翼ゲリラグループの「コロンビア革命軍(FARC)」と「民族解放軍(ELN)」によって、兵士として連れ去られた。その他の男性は、戦闘の犠牲になった。ゲリラと右翼の民兵組織のどちらも暴力的な戦術を用い、誘拐、地雷の設置、麻薬取引などを行っていたからだ。(参考記事:「6日間で死者66人、エル・サラドの虐殺とは」

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自宅から出てくる10代の少女。トタン屋根と木の壁でできたこの家は、彼女が自分で建てた。(PHOTOGRAPH BY IVÁN VALENCIA)

 現在、ラ・プーリアに残されているのは、女性、子ども、そして10代の母親たちだけだ。2017年に現地で数カ月間取材をしたコロンビア人フォトジャーナリストのイバン・バレンシア氏はそう説明する。

 かつては男たちが森に入って狩りをし、食べ物を採集していたが、その仕事は今、若い女性たちが担っている。彼女たちは背中に赤ん坊を背負ったままマチェテ(山刀)を振るう。現在、族長を務めるのは4人の子どもを持つ26歳の母親だ。子どもたちの遊ぶ声が、母親たちが自らの手で建てた家々の間に響く。母親の多くは10代で出産した。身ごもったのは、地元のゲリラ分派の兵士にレイプされたからだ。(参考記事:「残された妻たちの苦しみ」

 ラ・プーリアの子どもたちは、今も心に内戦の傷跡を抱えている。昨年、村の学校でアートセラピーが行われた際、子どもたちのほぼ全員が銃を持った人間の絵を描いた。(参考記事:「写真家がとらえた、難民の子どもたちと眠り」

完全に見捨てられたまま

 2017年6月にFARCの武装が解除され、52年続いた内戦がようやく終結した。2016年に行われた国民投票では、FARCの指導者とコロンビア政府による和平合意がわずかな差で否決されたものの、数カ月後には、和平合意の改訂版が議会で承認された。真の平和への道はまだ不確かではあるが、停戦は今も継続している。

 内戦が終わってもまだ、「ラ・プーリアの人々は国から完全に見捨てられたままです」とバレンシア氏は言う。健康管理や公共事業といった政府の支援がなければ、戦禍を受けた山村の住人たちがすでに直面している栄養不足や不衛生な環境は、いっそう厳しいものになる。「内戦の影響は今も続いているのです」(参考記事:「シリア 内戦で崩壊した街で再び暮らす」

 それでもかすかな光は残っている。バレンシア氏は、ラ・プーリアの人々の色彩感覚に強い衝撃を受けたという。「密林の中を延々と歩いた末に辿り着いたのは、豊かに彩られた場所でした。先住の人々の多くが、色鮮やかな服を着ていたのです。どんよりと薄暗く、深い悲しみに包まれた世界の中心には色彩が溢れていました」(参考記事:「森の部族に身を捧げた男、二度と帰ってこなかった」

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子どもを連れて村の炊事場にやってくる10代の母親たち。子どもたちの多くは、栄養不足で体が弱っている。開発業者やゲリラによってエンベラ・カティオ族の土地は奪われ、旧来通りの食習慣を続けるしかない状態にある。(PHOTOGRAPH BY IVÁN VALENCIA)

 エンベラ語を話す村人と、スペイン語を話す写真家にとって、意思の疎通を図る唯一の手段は視覚的な言語だった。

「私たちはカメラを通して話をしました」とバレンシア氏は言う。「こちらは彼らの世界にやってきたよそ者です。独自の言葉を使う人に対しては、敬意を持って接するべきです」

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文=Rachel Brown/写真=Iván Valencia/訳=北村京子

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