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バレー・オブ・ザ・ゴッズ(神々の谷)/米国ユタ州(Photograph by Reuben Wu)

闇に浮かぶシュールな絶景5点

2016.07.25
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 今回紹介するのは、写真家で映画制作者のルーベン・ウー氏が取り組んでいる「ルクスノクティス(夜の光)」プロジェクトの一連の写真。人工物からかけ離れた荒野の風景を、闇の中に浮かび上がらせた幻想的な作品群だ。ウー氏に、独自の撮影手法とその意図を聞いた。

ビスティ・バッドランズ/ニューメキシコ州(Photograph by Reuben Wu)
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――あなたはWebサイトで、「撮影への衝動だけでなく、新しい場所を探し出したいという欲求がある」とおっしゃっています。風景の何に引きつけられるのでしょう。作品づくりに必要な要素は?

 私が探すのは、人里離れた土地にある際立った地形です。夜、そこに照明を当てて撮影します。夕暮れや月が出ている間に撮影の計画を立てておき、深い闇が訪れたときに撮影を始めます。おおまかな撮影場所は事前に決めておきますが、最終的な被写体や構図は現場に来てから(昼の間に)決定します。

アラバマヒルズ/カリフォルニア州(Photograph by Reuben Wu)
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――広い闇の中、どうやって照明を当てるのですか。

 ドローンに付けた小型のLED照明を使います。ドローンを飛ばし、被写体の上空や周辺のポイントに静止させているあいだに撮影します。

 照明の距離や高さ、角度をいろいろ試しつつ、カメラはつねに三脚に固定しておく。そうすれば、同じ構図ながら光の当たり方が多様なシーンを撮ることができます。

「ルクスノクティス」のタイムラプス映像
ルーベン・ウー氏はドローンを使い、ニューメキシコ州
ビスティ・バッドランズの荒野に照明を当てる。

 そうして撮った画像を持ち帰って重ね合わせ、光の当たっている部分を洗練させていきます。絵画の「キアロスクーロ(明暗)法」のように、まずカンバスを黒く塗り、そこに光を加えていくのにちょっと似ています。

――なぜ自然光でなく、照明を当てて撮るのですか。

 見たこともない風景を撮りたいからです。私たちは太陽光に照らされた風景、写真を見慣れています。この連作で試しているのは、自在にコントロールできる光源を使って広大な風景に照明を当てるというアイデアです。夜空を黒いカンバスに見立て、私の描きたい構図の一部にだけ光を当てます。照明を駆使してポートレートを撮るように、風景を撮るのです。

グースネックス州立公園/ユタ州(Photograph by Reuben Wu)
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――今回の表現の意図について教えてください。

 私たちはたいてい、暗闇を未知のものと考えます。広大な未知の世界に光が当たっているという発想は面白いと、私は思いました。見慣れない光の中に見慣れたものを配置することで、世界と私との間に新しい関係を構築できます。

 地球が誕生してから長い歴史の中で、人類の歴史はほんの一瞬でしかありません。地質学的な時間は、私たちにとって、不可解で恐るべきものです。人類が存在しなかった時代を象徴しているのですから。

Reuben Wu is a member of National Geographic's Your Shot community.  You may see more of his work there and on his website.

文=Sarah Polger/訳=倉田真木

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