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 高砂淳二は日本を代表する自然写真家だ。ダイビング雑誌の専属カメラマンとして写真の世界に入り、独立してからの30年間は、海の中だけでなく、世界各地の自然をテーマに撮影を続けてきた。高砂の写真には、力強く生きる動物たちや神秘に満ちた星空、かけがえのない虹との出会い、轟音を立てて流れ落ちる滝など、この惑星が見せてくれる多様な姿がある。

 自然にカメラを向けるとき、高砂が大切にしているのは「地球に対して愛情と感謝とリスペクトをもって接すること」だという。これは、15年ほど前に、先住ハワイアンの知人から教えられたことで、その後の生き方の大事なバックボーンになってきた。

 しかし、自然に対する高砂の気持ちが揺らぐ出来事が5年前に起きた。東日本大震災だ。高砂が生まれ育った宮城県石巻の実家や街が津波にのみ込まれた。海や自然に対する気持ちが混乱し、そこにカメラを向ける気になれなくなったという。

 そんな高砂を再び自然に向かわせたのは、被災地で進む巨大な防潮堤計画だった。海と人間が壁によって切り離されてしまうという危機感が、もう一度、自然としっかり接しようという気持ちを奮い起こさせてくれたという。

 地球を撮影する旅が再び始まった。「心を込めて撮影しているうちに、自然との間に確かな一体感が感じられるようにもなり、救われもした」と高砂は言う。恐れおののく対象であると同時に、さまざまな恵みを優しく与えてくれもする地球。高砂の作品には、そんな地球の素顔が写し取られている。


『ナショナルジオグラフィック日本版』2016年11月号「写真は語る」に、写真を追加して掲載した。

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