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  • ニジェールのウォダベ族の男性。化粧は女性の気を引くためだ。大地とともに生きるその姿は、これまで見た何よりも美しかった。
  • カーニバルの時期、ブラジルのリオデジャネイロの街はカオスと化す。人々の熱気は辺りの輪郭を溶かし、見る者の心の奥底に入り込んでくる。
  • ミャンマーのインレー湖畔でスコールに遭い、古びた僧院学校で雨宿りした。教室では、読経を終えた小僧たちが球を追いかけ回していた。
  • インド北部のスピティ渓谷で、民家に宿を借りた。伝統衣装を着た女性の背後の壁には、チベット仏教のマンダラなどが貼られている。
  • チベット東部(中国四川省)の僧院、ラルン・ガル・ゴンパ。明け方に雪が降り、目が覚めると辺り一面が白い雪で覆われていた。丘の斜面を埋め尽くしたいくつもの僧房は、無数の細胞の連なりが作り出す一つの生命体のように見えた。
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 インド北部で撮影した作品「スピティ谷の女」で、日経ナショナル ジオグラフィック写真賞2014のグランプリを受賞。2015年7月号「写真は語る」では、世界103カ国をめぐった旅の作品とともに手記を掲載した。

 1977年生まれ。ダイビングの専門誌「ダイビングワールド」のスタッフフォトグラファーを経て、2004年に独立した。

 2010年には、世界をめぐる長い旅に出る。アフリカ大陸では旅に取りつかれ、危険を顧みず、ひたすら大陸の最奥部を目指した。サハラ砂漠南部を旅する遊牧民が死と隣り合わせの生活を送る姿は、「眩しく、美しかった」という。

 生きる人々を求めるあまり、死に近い場所を好んで旅するようになった。それが自分の「生きている」という実感につながり、無上の充実感と喜びを得たと、当時を振り返る。「自らの生命力を輝かせ、大地を踏みしめ、生きること。僕が求めていたのは、そういうことだったのだと思う」

「長くても1年半」と考えていた旅は、結局3年近くに及んだ。南米、アフリカ、ユーラシアを旅し、2012年の大みそかに帰国したときには、出発から1021日の月日が過ぎ去っていた。

 長大な旅の記録は、2013年に写真集『Walkabout』として結実。その一部は、Webナショジオにも「3年間103カ国を旅して見てきた 世界の最も激しい3つの祭り」と題して掲載された。

 2015年春には、写真賞のグランプリ受賞で得たチャンスを生かし、米国のニューヨーク市で個展を開催。ナショナル ジオグラフィック英語版サイトなど、数多くの現地メディアが取り上げた。「いつか振り返ったときに、この個展が写真家としての大きな転機だったと言えるようになればと思います」


『ナショナル ジオグラフィック日本版』2015年7月号「写真は語る」を基に構成した。

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