ストローはこうして世界を席巻した、その短い歴史

世界の海辺に83億本、人類はストロー汚染から立ち直れるか

2018.07.11
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 ストローはさらに進化し、1980年代になるとジャンボストローや複雑に曲がったストローが登場する。

 社会は急速に便利な使い捨て製品を求めるようになり、多くの企業がその需要に応えた。世界最大手のプラスチック製造会社プラスチックス・ヨーロッパの報告書によると、世界的なプラスチックの製造量は1950年の1500万トンから、2015年には3億2200万トンまで増加した。(参考記事:「南太平洋の無人島にゴミ3800万個、日本からも」

この先どうなる?

 世界は現在、プラスチック汚染から立ち直ろうとしている。

 企業や、地方自治体、国家までもがプラスチックストローの使用禁止を提案し、実行している。環境保護意識の高い消費者向けに、金属やガラス製のストローを製造する企業も出てきた。ただ、個人が使う分にはいいが、レストランにとっては使い捨て出来る紙やプラスチックの方が便利ではある。(参考記事:「使い捨てプラスチックの削減を、米版編集長が声明」

 プラスチック製造会社などの業界を代表する米国化学工業協会でプラスチック担当副会長を務めるスティーブ・ラッセル氏は、ストローなど特定の製品だけに焦点を当てた規制は的外れであると主張する。

「個別の製品ばかりに気を取られていては、もっと必要な論点を見失ってしまいます。つまり、廃棄物管理を、それが必要な場所へいかに届けるかという問題です。ストローについては、自動的に提供されるのではなく、消費者が必要な時だけ手に入れられるようにすることが必要だと思います」

 ラッセル氏は、プラスチックごみの海洋流出を防ぐには廃棄物をしっかり収集することだとして、化学工業協会ではそこに焦点を当てていると話す。(参考記事:「プラスチックごみ問題、アジアの責任は?」

ギャラリー:プラスチックごみに翻弄される動物たち、写真10点(画像クリックでギャラリーページへ)
ビニール袋のそばを泳ぐジンベエザメ。(PHOTOGRAPH BY THOMAS P. PESCHAK, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)

 一方、環境保護団体は、使い捨てプラスチックの流通を終わらせることを究極の目標としており、そのためにも、プラスチック製ストローの使用禁止は重要な一歩であると主張する。

 7月1日にシアトルのストロー禁止令が施行された後、グリーンピースのケイト・メルジェス氏はテレビのインタビューに応え、「シアトルはプラスチック汚染に対して立ち上がり、何をすべきかについて明確な立場をとっています。それは、1回限りの使い捨てプラスチック製品の全面禁止です」

 アードバーク・ストロー社のローズ氏は、プラスチック製ストローがいつの日か過去のものになると信じている。2007年に紙製のアードバーク・ストローが発売された背景には、環境に優しいイメージを売りにしたい動物園や水族館、クルーズ船からの要望があったという。

 プラスチックストローがなくならない唯一の理由はコストであると、ローズ氏は言う。「紙製ストローは、どうしてもプラスチック製よりも製造コストが1本あたり1セントほど高くついてしまいます。大企業にとって、それは数億ドルという違いを生んでしまいます。けれども、海の環境に値段をつけることなどできません」(参考記事:「日本でもレジ袋の規制に踏み出すべき時」

文=Sarah Gibbens/訳=ルーバー荒井ハンナ

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