長く巣に留まりたいひな、早く送り出したい親鳥

鳴き鳥が巣立つ時期の謎を解明、カギは巣内外の生存率

2018.06.29
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泥の上にとまったユキヒメドリの巣立ちひな。(PHOTOGRAPH BY VICKIE ANDERSON, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)
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 人と鳥には驚くほど多くの共通点がある。どちらも顔や表情の違いがわかったり、楽器を作ったりなど、見たところ複雑な課題を達成できる。そして、巣で子どもを育ててから外の世界に送り出す点も同じだ。(参考記事:「【動画】鳥が自作の道具でリズム刻む、人以外で初」

 人間でも鳥でも、親は子どもを長く引き留めず、早く出て行かせようとすることが多い。人間の場合、その決断の意味は人によって微妙に違うが、鳥の場合は生死にかかわることがある。(参考記事:「スズメはなぜ町の中でしか子育てしないのか?」

 6月20日付けの学術誌「Science Advances」に掲載された最近の研究では、米モンタナ大学の研究者たちが、種によってばらばらな鳥の巣立ちの時期がどのように決まっているのかに興味をもち、巣立ちの時期における運動能力と生存率の関係を調査した。その結果、巣立ちの時期は巣の内外における生存率と深い関係があることが明らかになった。(参考記事:「ヒット曲はますますヒット、鳥で判明、最新研究」

1羽を立てればみんなが立たず

 論文の責任著者であるトム・マーティン氏は、モンタナ野生生物共同研究ユニットの副部長兼研究者を務めている。これまで、米国内外の鳥を研究してきたことが、今回の論文のきっかけになった。論文では、翼を広げたときの大きさも、巣のかけかたも、生まれてから巣立つまでの期間もさまざまな鳴禽(めいきん)約10種の鳥のデータを調査した。(参考記事:「ハチドリ、小さなヒナの大きな巣立ち」

チェーンソー、車の警報装置、何でも声真似するコトドリ
コトドリの声真似は別種の鳥だけにとどまらない。最近、人工音も曲目に加わった。(解説は英語です)

「全体的な結果には驚きませんでした」とマーティン氏。「実験は確認のためです。どんなときも、実験するまで何も確定はできません」

 予想に違わず、幼いひなほど翼が未発達で、あまりうまく飛べなかった。そのため天敵に弱く、十分に成長する前に巣立つと生存率は下がる。巣立ちが早い鳥では、死亡率は70%におよぶこともある。

 対して、ひなが巣に長くとどまる種では、死亡率は12%ほどにとどまる。巣立ちが遅い鳥ほどより成長し、うまく飛べるため、生き延びる可能性も高まるようだ。研究チームがユキヒメドリなど一部の種を飼育して、巣立ちを数日遅らせたところ、生存率は上昇した。

次ページ:巣の安全度で大きな差が

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