トランプ政権が引き離した移民親子、再会できるか

2000人以上の子どもが親と離れて収容、DNA鑑定で関係を特定できる?

2018.06.28
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2018年6月12日、テキサス州マッカレン。メキシコとの国境近くで、米国国境警備隊のスポットライトに浮かび上がった母と息子。2人は、ホンジュラスから米国へやってきた。(PHOTOGRAPH BY JOHN MOORE, GETTY IMAGES)
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 トランプ米大統領の移民親子引き離し政策が、大きな批判を浴びている。これはメキシコ国境を越えて米国に不法入国した移民の親子を引き離して収容する措置で、現在、2000人以上の子どもたちが少なくとも16の州にあるシェルターに預けられている。なかには、わずか1~2歳の幼い子どもまでいるという。(参考記事:「写真家がとらえた、難民の子どもたちと眠り」

 トランプ氏は最近になって引き離し政策の撤回を表明する一方で、不法移民を司法プロセスなしで国外退去させると発言するなど、事態がすぐさま収束する兆しはない。

 引き離しが撤回されたとして、次に浮上するのは、物心もついていないような子どもたちを、どうやって親と再会させるかという課題だ。これに対し、DNA鑑定で支援しようと、米国の複数の民間DNA検査会社が協力を申し出ている。マイヘリテージ社が5000本の検査キットを無料で寄付すると表明したほか、23アンド・ミー社も議員の呼びかけを受けて協力を申し出た。

 しかし、この方法に懸念を示す専門家もいる。「DNAデータベースを作成しようという提案は、たとえ善意によるものであったとしても、すべて慎重に対応すべきだと思います」と、米カリフォルニア大学デービス校の法学部教授エリザベス・ジョー氏は語る。

 プライバシーの保護から、検査の実施方法、そもそも本当に親子探しにDNA検査が必要なのかといった疑問まで、専門家に話を聞いた。

DNA鑑定とは?どれくらい正確?

 人の遺伝子パターンは、生物学上の母親と父親のDNAが混じりあってできている。つまり、体内の遺伝子は全て、どちらかの親から受け継いだものだ。

 移民親子を助けるためには、親と子どもたち全員が遺伝物質のサンプルを提出しなければならない。23アンド・ミー社の検査ではチューブに唾液を入れ、マイヘリテージ社のキットは頬の内側をこすって粘膜を採取する。ナショナル ジオグラフィックのDNA検査サービス「ジェノグラフィック・プロジェクト」で主任科学者を務めるミゲール・ヴィラー氏によると、検査会社はこの遺伝物質を使って、30億もの塩基対で構成されるヒトゲノムのうちおよそ70万塩基対を解析する。(参考記事:「生命を自在に変えるDNA革命」

ギャラリー:100年前の米国移民排斥、歴史は繰り返す 写真14点(画像クリックでギャラリーページへ)

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