【動画】大量死で砂浜を埋め尽くすエビ、正体は?

名前はコシオレガニだが、カニでもザリガニでもない

2018.06.15
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【動画】ザリガニのような外見のコシオレガニ。メキシコ、バハ・カリフォルニア半島の海に暮らしているが、米国の海岸に大量漂着することがある。(解説は英語です)

 米国カリフォルニア州南部の海辺ではまれに、砂浜が「レッドカーペット」で覆われる。と言っても、ハリウッド映画のプレミア試写会ではない。無数の甲殻類が打ち上げられるためだ。(参考記事:「【動画】大量の「電気クラゲ」が海岸に漂着」

 甲殻類の名前はコシオレガニ。ザリガニのような外見で、体長は3~8センチ。ただし、厳密にはカニの仲間でもザリガニの仲間でもない。ヤドカリ下目、チュウコシオリエビ科に属し、通常は南のメキシコ、バハ・カリフォルニア半島の沖合に暮らしている。

 コシオレガニは泳ぎがさほど得意ではないため、海流に流されて移動する。エルニーニョ現象などが発生して暖かい海流が北へ向かうと、無数のコシオレガニがカリフォルニア州中南部の海に現れる。(参考記事:「太平洋 不吉な熱い波」

 ところが、北へ流れてきたコシオレガニたちは、ここで冷たい水の洗礼を受ける。2015年に大量のコシオレガニが米国の海岸に漂着した際、米ハッブス海洋研究所のマイケル・シェーン氏はABC Newsの取材に答えて、「こちらの水はずっと冷たいので、コシオレガニたちは命を落とし始めるのです」と説明している。

 過去に遡ると、1859年にモントレー湾の海岸に大量のコシオレガニが漂着したという記録がある。その後も1959年や69年、82年など、海水温が上昇した年にコシオレガニがモントレー湾で確認されている。

 モントレー湾水族館の海洋生物学者スティーブ・ウェブスター氏は当時、飛び立てないほどコシオレガニを食べたカモメたちを目撃した。サンタカタリナ島に漂着したときには、100人にもおよぶ子どもたちがコシオレガニの命を救おうと、バケツで集めて、海に戻していたこともある。(参考記事:「テッポウエビは「女王」のいる社会、秘密を解明」

 2015年以降は続けて目撃されていて、2017年の春には、より北に位置するオレゴン州の複数の海岸で確認された。もしかしたら、初の確認かもしれない。

ギャラリー:奇妙で神秘的なガラパゴス沖の深海 写真10点
体を前後に曲げ、小さな扇形の器官を動かして泳ぐナマコの一種。(Photograph by Ocean Exploration Trust)

 コシオレガニは、マグロがよく食べることから「ツナクラブ」とも呼ばれる。ほかの回遊魚やイカ、カメ、エイ、クジラもコシオレガニを食べる。鰭脚類(アザラシ、セイウチ、アシカなど)や海鳥も捕食者だ。(参考記事:「【動画】アシカが突然、少女を海に引き込んだ」

 コシオレガニは雑食性で、外洋では植物プランクトンを食べる。体が大きくなると、海底をはうこともある。ただし、コシオレガニを食べることはおすすめしない。毒素を生み出すプランクトンを摂取している可能性もあるためだ。(参考記事:「藻類の毒でアシカに記憶障害、大量漂着の原因か」

文=ELAINA ZACHOS/訳=米井香織

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