【動画】中米グアテマラ、フエゴ火山の噴火。火砕流による被害が拡大している。(解説は英語です)

 6月3日に中米グアテマラのフエゴ火山が噴火し、60人以上の死者が出ている。

 動画からは、噴火によって火山灰が立ち上る様子がうかがえる。5月に噴火し、溶岩がゆっくりと流れる米ハワイ島でキラウエア火山と比べると、対照的な光景だ。ハワイにおける被害が、じわじわと建築物が破壊されるにとどまっているのに対し、グアテマラではなぜ、これほど多くの死者が出たのか。(参考記事:「【動画】ハワイの噴火、なぜ人は火山に住むのか」

フエゴ火山とキラウエア火山の違い

 キラウエア火山は、楯状火山と言われ、裂け目から溶岩の塊がじわじわとあふれ出てくるのが特徴だ。一方のフエゴ火山は、成層火山と言われる。このタイプの火山では、灰や溶岩や泥が勢いよく噴き出してくることが多い。

 噴火のしかたが違うのは、火山を形成する地質が違うからだと、米ウェストバージニア州コンコード大学の火山学者ジャニーン・クリップナー氏は語る。「マグマ自体がまったく違うのです。キラウエアのマグマは、粘性が低く流れやすいので、火山ガスはすぐ大気中に放出されます。しかし、フエゴ火山のマグマは粘性が高いのです」

 マグマの粘性が高いと、閉じこめられたガスの気圧が上がり、爆発的な噴火が起こる。まれに新しい噴火口が形成されることもあるが、今回のフエゴ火山の噴火は、既存の火口で起きている。(参考記事:「溶岩にのみ込まれたカメラ、撮影を続けていた」

火山被害のメカニズム

 火山でもっとも大きな被害を出すのは、噴火に伴う連鎖反応だ。

 フエゴ火山では、火口で爆発的な噴火が起きたあと、岩石や火山灰が斜面を滑り落ちてきた。この現象は火砕流と呼ばれ、場合によっては庭石ほどの巨大な岩が含まれることもある。「火砕流はとても熱く、とても危険です」とクリップナー氏。(参考記事:「予知できる噴火、できない噴火」

 火砕流が落ち着いても、不安定な岩石は残る。グアテマラのほとんどは熱帯に位置するので、頻繁に豪雨に見舞われる。雨と火山性堆積物が混じると、ラハールと呼ばれる危険な火山泥流が発生することがある。少量の雨なら、ラハールは生コンクリートのようになるだけだが、大量の雨が降れば、鉄砲水のような泥流が押し寄せてくることもある。(参考記事:「村をのみ込む泥噴出、止まらない原因を解明」

 フエゴ火山の周辺では、空気の質も悪化している。火山の噴火では珍しくない被害だが、火山灰を吸い込めば、呼吸器系の疾患につながることもある。そのため、専門家は屋内で過ごすことを推奨している。

 このあたりには、フエゴ火山のほかに2つの成層火山が存在し、そのすべてが地質活動の活発な地域にある。ただし、クリップナー氏は、一つの火山の噴火がほかの火山の噴火を誘発するという証拠は見つかっていない、と話している。

 フエゴ火山は、この地域でもとくに活発な火山と言われてきたが、今回の規模で噴火が起きたのは、数千名の死者を出した1902年の噴火以来となる。1974年にも大規模な噴火が起きたが、近隣の農場に被害があっただけで、死者は出ていない。(参考記事:「富士山の噴火を怖がり過ぎずに済むこれだけの理由」

ギャラリー:大迫力、空から至近距離で撮ったハワイの溶岩 10点(画像クリックでギャラリーページへ)
PHOTOGRAPH BY EREZ MAROM

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