最古のトカゲの化石を発見、「全てのトカゲの母」

2億4000万年前に生きていたトカゲやヘビの共通祖先

2018.06.05
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
【動画】「全てのトカゲの母」が判明。(解説は英語です)

 世界で最初のトカゲがどのような外見をしていたかについて、科学者はようやく理解できたのかもしれない。

 今回新たに調べられた化石標本が、トカゲやヘビを含む全ての爬虫類有鱗目(ゆうりんもく)の共通祖先と考えられ、「全てのトカゲの母」として研究者に歓迎されている。5月30日付けの科学誌「ネイチャー」で発表された論文によると、メガキレラ(Megachirella wachtleri)と名付けられたこの化石の生物は2億4000万年前にはすでに生息していた。(参考記事:「2.9億年前の爬虫類も尻尾を切って逃げのびた」

イタリアのアルプスで20年前に発見

 メガキレラの化石は、イタリア・アルプスで20年前に発見された。当時も有鱗目に関連があるかもしれないと考えられたが、十分な証拠もなく、直接の祖先であることを科学的に説明できなかった。メガキレラの詳しい特徴が、はっきりと識別できなかったことに加え、その頃はまだ科学者が有鱗目の進化史を総合的に理解していなかったことが原因だ。

 しかし、最近になって化石標本をイタリア北部の研究施設に持ち込み、マイクロCTスキャンであらためて調査した。その結果、この動物の非常に詳細な画像が得られ、化石が埋まっている岩の内部さえ見ることができた。これにより、メガキレラが古代の有鱗目だったことをはっきりと示す特徴がついに明らかになった。

系統樹をいちから作る

 論文の筆頭著者ティアゴ・シモエス氏は、4年以上かけて有鱗目の系統樹を作り上げた。共同研究者でカナダ、アルバータ大学の古生物学者マイケル・コールドウェル氏と協力して、このチームいわく、爬虫類についての史上最大のデータベースを構築した。これは、現生のものも絶滅したものも含め、主要なトカゲやヘビの系統発生学的データを網羅している。(参考記事:「恐竜から深海魚まで、世界で活躍する若き日本人研究者」

「400日近くを費やし、17カ国にも及ぶ50を超える博物館や大学の所蔵庫を訪れて、爬虫類の化石や現生種に関するデータを収集し、爬虫類とトカゲの進化の初期段階を理解しようとしました」とシモエス氏はAFP通信の取材で話した。

 その後、マイクロCTスキャンのデータを利用して、メガキレラの生理機能を反映した3次元モデルの構築に成功した。その特徴を見ると、初期の爬虫類であることが示唆された。なかでも極めて重要なのは、トカゲとヘビが枝分かれする前に登場していた種ということだ。(参考記事:「最初の四足動物は歩けなかった」

トカゲの進化の謎を解く鍵に

 鳥類と並んで、有鱗目は地球上で最も多様性に富み、最も広く分布している四肢動物のグループだ。しかし意外にも、その進化的な起源についてはほとんど何もわかっていなかった。今回の発見のおかげで、古代の有鱗目がどのように古代を生き延び、どのようにいまのトカゲやヘビに至ったのかについての理解が深まった。(参考記事:「恐竜絶滅、なぜ鳥だけが生き延びた?」

「この化石は、これまで世界最古と考えられてきたトカゲの化石より、7500万年も古い」とシモエス氏はプレスリリースで述べた。コールドウェル氏は、古代エジプトの文字ヒエログリフを解読する手がかりとなったロゼッタ・ストーンになぞらえて、こう付け加えた。メガキレラの化石は、爬虫類の系統樹を解明するのに役立つという点で、古生物学者にとってのロゼッタ・ストーンなのだ。

【参考ギャラリー】21世紀に生きる“ドラゴン” コモドオオトカゲ(写真クリックでギャラリーページへ)
コモドオオトカゲが、唾液を垂らしながら干潮となったリンチャ島の浜を歩く。唾液には毒があるが、大抵の獲物は体をかみ裂かれて死ぬ。かろうじて逃げ延びても、かまれた傷口がもとで死に至る。 (Photograph by Stefano Unterthiner)

文=SARAH GIBBENS/訳=牧野建志

  • このエントリーをはてなブックマークに追加