【動画】近すぎて怖い 野生のヒョウが目の前に

サファリでの出来事。ヒョウにも人間にも不幸なことにつながると専門家は警告

2018.05.23
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【動画】サファリでヒョウが目の前に。(解説は英語です)

 アフリカ南部、ボツワナのオカバンゴ・デルタ。サファリツアーにやってきた観光客が乗る車に、好奇心旺盛な若いヒョウが近寄り、観光客の靴を噛んだり触ったりした。映像にあるように、大けがに遭う人や死者は出さなかったが、専門家たちは「違う結末を迎える可能性が十分あった」と野生動物に近づき過ぎないよう警告する。

 観光客の安全に責任を持つトラッカー(案内役の現地スタッフ)は、ヒョウが車に近づいてきたとき、ヒョウを驚かせないよう、じっとしているよう指示したという。ヒョウは体を乗り出すようにして観光客の足を引っかいたり、靴を触ったり噛んだりした。しかし、車が動き出すと、ヒョウはエンジン音に驚いて、車から離れていった。

 大型ネコ科動物の専門家でナショナル ジオグラフィックのエクスプローラーでもあるクレイグ・パッカー氏は、この動画を見て、「ヒョウが近づいてきたとき、トラッカーはすぐにエンジンをかけるべきでした。映像にあるように、ヒョウが観光客に近づくのを許してしまったことは、とても無責任なことだと思います。ヒョウが日常的に人と接触するようになれば、いつかけが人が出るでしょう。ヒョウも処分されることになってしまいます」と語った。(参考記事:「【動画】間一髪!チーターに追われて逃げる家族」

旅行者の体験か、動物との長期的な関係か

 トラッカーやツアーガイドは、旅行者の体験と、動物と人間の長期的な関係とのバランスを見極めなければならない。今回の出来事は、その微妙な境界線がどこかを考えさせる。

 車に近づく動物をすぐに追い払ってしまえば、ガイドは観光客から不評を買い、収入源を絶たれることになるだろう。でも「野生動物を刺激しなければいい」と、今後も同じように動物を人に近づけさせることを続けていれば、動物に襲われる人が出てもおかしくない。

 パッカー氏と同じく大型ネコ科動物の専門家で、ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラーであるルーク・ダラー氏も次のように話している。「危険はない、不幸なことも起こらない、と断言できません。危険は小さなものであっても常にあるのです」(参考記事:「【動画】ライオンが奪ったカメラに写っていたのは」

「ネコ科の動物は獲物をもてあそぶのが好きだと言われていますし、ヒョウは簡単に捕まえて食べることができるものと、そうでないものを若いときに学習します。でも、私にはもっと心配なことがあります。それは、動画に映っていたヒョウが、人と関わり合うことのマイナス面を理解できなかった可能性です」

 ダラー氏は続けた。「このヒョウが、人間は食べものではないということを理解してくれていればいいのですが……」

 今回のサファリに参加した観光客は、動画と一緒に生涯残る思い出を持ち帰ったと考えているだろう。だが、野生のヒョウには近づくべきではないということも、忘れないでほしい。

ナショジオだから撮れた!ビッグキャットたち(写真クリックで記事へ)
ボツワナ、オカバンゴデルタの深い森の中では、ヒョウの毛の斑点がカモフラージュとなる。 写真=Beverly Joubert

文=Richie Hertzberg/訳=鈴木和博

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