ペットのイヌがクマに変身? ウソのような話の真実

野生動物をイヌやネコだと信じて飼ったと主張する人々

2018.05.18
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【動画】飼っていた「イヌ」が大きくなりつづけ、実はクマだったことがわかって驚いた、と飼い主の家族は語っている。(解説は英語です)

 中国のある家族のニュースが話題にのぼっている。チベタン・マスティフだと思って飼っていたイヌが、実はツキノワグマだったというのだ。この家族は、箱でくだものを与えたり、バケツで麺を与えたりして、2年間クマを育てていた。地元のメディアに対し、飼い主の家族は「なぜ成長し続けるかわからず、クマだと知ったときは驚いた」と話している。

 このニュースの真偽はさておき、野生動物とイヌやネコを取り違えて育てたという例は、ほかにも報告されている。最近でも2018年4月に、雲南省の男性が野良ネコと勘違いして、野生のベンガルヤマネコを連れ帰っている。また5月には、中国の女性が日本スピッツだと思って1年近くキツネを育てていたと分かり、動物園に引き渡すことが起きている。(参考記事:「ヘビのいる生活、不意をつかれる写真16点」

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最初の1匹を肝不全で亡くした後、メラニー・ティパルドス氏が購入した2匹目のカピバラ「ガリバルディ・ルース」。テキサス州に住む彼女は、ベネズエラで野生のカピバラを見て以来、この巨大なげっ歯類に夢中になった。カピバラは飼育下ではあまり長生きしない傾向にある。(PHOTOGRAPH BY VINCENT J. MUSI, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)

 だが、専門家の意見は違う。米テキサス州サンアントニオを本拠地とする「ワイルドライフ・レスキュー&リハビリテーション」の創設者兼代表であるリン・カニー氏は「野生動物とペットになる動物を取り違えることは考えられない」と話す。同氏によれば、野生動物は外見やにおいがペットとして飼われている動物とはまったく違うという。また野生動物は人がいるなど慣れない環境では落ち着かず、愛玩動物よりも怖がりだ。

「クマが吠えるのを聞いて、イヌだと思う人はいないでしょう」とカニー氏は話す。「この話を聞いて最初に思ったのは、単なる勘違いにとどまらない何かがあるということです。勘違いなんて、そう起こることではありません」

 確かに、「愛玩動物と勘違いした」というのは、野生動物を飼う人の言い逃れかもしれない。米国テキサス州でも、この5月に、飼うことが禁止されているボブキャットを飼うサンアントニオの女性がいた。彼女は「路地で2匹のボブキャットの子猫をたまたま見つけた」と嘘をついていた。(参考記事:「風変わりなペットたち」

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滅多に姿を見せない野生ネコ「ボブキャット」。ある夏、写真家カリーヌ・アイグナー氏がボブキャット家族と非常に親密な関係を築いた。(写真=Karine Aigner)

 ツキノワグマは国際自然保護連合のレッドリストで危急種に分類されている。ベトナムなどで需要が高く、違法に売買されたり胆汁が採取されたりしている。ツキノワグマの胆汁は、がんから二日酔いまで様々な効能がある万能薬として、不正に販売されているのだ。

 カニー氏は、自然環境から連れ出された動物が、ときには虐待されることもあると指摘する。「もし、人間に対して同じようなことがあれば、誰だって怒るはずです」とカニー氏は語っている。

ギャラリー:森の精霊 スピリット・ベア 写真14点(画像クリックでギャラリーへ)
カナダのグレート・ベア・レインフォレストで、野リンゴを取ろうと木に登るスピリット・ベアの母グマ。 (PHOTOGRAPH BY PAUL NICKLEN)

文=Elaina Zachos/訳=鈴木和博

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