【解説】木星の衛星エウロパに間欠泉、ほぼ確実

ガリレオ探査機が間欠泉の中を通過した強力な証拠を発見

2018.05.16
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「磁気信号には非常に特異な変化が認められました」とジャ氏は言う。「われわれはこのほか、ガリレオからプラズマ波のデータも引き出しましたが、驚いたことにちょうど同じ頃、プラズマ波も異常な放出を見せていました。これらふたつの事実を合わせると、この時間に何か極めて特別なことが起こっていたと推測されます」

 その特別なこととは具体的には、ガリレオがエウロパの赤道付近で、幅約1キロほどの間欠泉の中を通り過ぎたということだ。ジャ氏のチームはこの推測の確からしさを高めるため、ハッブルが捉えたものとおなじ大きさと密度を持つ間欠泉を探査機が通り抜けた場合にどんなデータが得られるか、シミュレーションを行った。すると得られたデータは、ガリレオの観測結果とほぼ完全に一致した。

「ひとつの証拠だけを見てもあまり確実とは言えませんが、互いに完全に独立した観測結果を合わせて検証し、すべてが同じことを示していたなら、それはかなりの説得力があります」

間欠泉はたくさんある?

 ガリレオのデータの分析結果がすばらしいものであることは確かだが、これは必ずしも間欠泉がずっと噴きだしていることを証明するものではない。フィリップス氏はこれについて、エウロパが宇宙空間に、少なくとも時々は水を噴き出していることを示す証拠がまたひとつ増えたということだと述べている。(参考記事:「さよならカッシーニ、写真で振り返る輝かしき偉業 19点」

 マクグラス氏は言う。「わたしはこの観測結果は、現在見えているものよりも多くの間欠泉があることを示していると考えます。ひとつしか存在しない間欠泉の中を偶然通り抜けるというのは、かなり確率の低いことですから」

 今回の発見は、エウロパ・クリッパーにどのような影響を与えるだろうか。実のところ、クリッパーを設計したチームはすでに、観測機が間欠泉を通り抜けた場合に観測を行える機器一式を用意する計画を立てている。これで何が見つかるかは、まだ誰にもわからない。

「いくら想像をたくましくしようとも、いつもまったく考えてもいなかったことが起こるものです」とマクグラス氏は言う。「エウロパでもきっと、完全に予想外のことに出会えることでしょう」

【参考ギャラリー】ハッブル望遠鏡 50の傑作画像(写真クリックでギャラリーページへ)
へび座に位置するわし星雲(M16)の拡大画像がとらえた低温のガスと塵からなる柱の内側には、高温星の電離放射線を浴びて蒸発しつつあるガスのグロビュール(EGGs)が隠れている。 NASA, ESA, AND THE HUBBLE HERITAGE TEAM (STSCI/AURA)

文=NADIA DRAKE/訳=北村京子

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