【動画】ビニール袋みたいな深海クラゲの鮮明映像

最新テクノロジーを使った低光量カメラで撮影に成功

2018.05.17
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カメラは遠隔操作型無人潜水機「ハーキュリーズ」に取り付けられ、深さ974メートルの深海へ降ろされた。撮影は、船からの遠隔操作だ。

 地球の70%以上を覆い、生物圏の99%以上がすむと言われる海中で、ただでさえ見つけにくいディープスタリアクラゲを、研究者たちはあえて探して撮影したわけではない。偶然、クラゲがやってきたのだ。

「ハーキュリーズのすぐそばを偶然、漂っていたんです。採取はしませんでした」

 初めてこの個体を見つけたとき、低光量カメラで10分近く後を追った。次に、明るさを調節できるLEDライトを、一番暗い設定にして、クラゲが傘の口を閉じる様子を観察できた。これは、触手のない体に推進力をつけているのか、獲物を捕らえるための行動と考えられている。撮影中、クラゲがカメラを守るガラスに近づいた。そのおかげで、体全体に走る網目状の消化管の組織構造を間近に観察できた。

「ふだん、このクラゲを照らすのは、周囲の発光生物の光くらいです」と、グルーバー氏。

 生きた個体のほかに、死骸にも遭遇した。深さ900メートルの深海底でディープスタリアクラゲの死骸を撮影したのは、恐らく今回が初めてだ。ほかの深海生物がクラゲの死骸に集まる様子を見て、グルーバー氏は「巨大なフードパック」と呼んだ。食べものが見つかりにくい深海では、生物の死骸も貴重な栄養源だ。ディープスタリアクラゲの死骸には、タラバガニの仲間やコエビの仲間が群がっていた。(参考記事:「深海の食物網、クラゲがカギ、30年分の動画解析」

深海観察の新たな手法に

 グルーバー氏たちは調査では、深海生物を自然な状態で観察できるよう、生物に干渉しないように心がけた。今回うまくいったのは、低光量の環境下で撮影できるカメラがあったからだ。このカメラなら、わずかな光量で鮮明に撮影できる。

「これまでのカメラは必要な光量が足らないために、深海の様子を撮影しても見過ごしてしまうものがたくさんあったと思います」

「小さなペンライトを携えて潜水しているみたいですね」と、グルーバー氏は語る。今回の調査は、ディープスタリアクラゲの貴重な研究資料となった。また今回調査で使った方法は、これまで研究が難しかった、ほかの深海生物の調査への応用が期待されている。

ギャラリー:奇妙で神秘的なガラパゴス沖 深海の最新写真10点(画像クリックでギャラリーへ)
ナマコは普通、海底に張り付いている。だが、この写真のナマコは違う。体を前後に曲げ、小さな扇形の器官を動かして泳ぐ。(Photograph by Ocean Exploration Trust)

文=Elaina Zachos/訳=ルーバー荒井ハンナ

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