【動画】ビニール袋みたいな深海クラゲの鮮明映像

最新テクノロジーを使った低光量カメラで撮影に成功

2018.05.17
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 今から半世紀ほど前、フランスの探検家ジャック・クストーは潜水艇「ディープスター4000」に乗って深海を探検した。1965年に建造されたディープスターは、1972年にその役目を終えるまで、深さ数百メートルの深海にすむ生物の発見に大きく貢献した。触手を持たない巨大クラゲもその一つだ。このクラゲは、後にディープスタリアクラゲ(Deepstaria enigmatica)と名付けられた。

 ディープスタリアクラゲは、メキシコ湾、インド洋、南極海の深さ900メートルの深海に生息する。このクラゲの研究は少なく、生態には謎が多い。外見は大きなビニールのゴミ袋のようだ。薄くて脆い巨大な傘の表面には、交差し合う無数の管が網目模様のように張り巡らされている。

 生息域が900メートルの深海であることから、ディープスタリアクラゲの姿は簡単には見られない。過去には、体の一部が発見されたり、写真におさめられたり、潜水艇の窓から確認されたりして、どんなクラゲであるかまではわかっていた。今回、最新テクノロジーと新たに発表された論文で、謎の深海クラゲの生態がこれまで以上にわかったのだ。(参考記事:「【動画】クラゲがすむ「湖」を発見、新種も多数」

 海洋生物学者デビッド・グルーバー氏の研究チームは、厚いガラスの球体に超高感度低光量カメラを入れクラゲを撮影した。調査の結果は、2018年5月11日付の科学ジャーナル「American Museum Novitates」に掲載されている。

「新しいテクノロジーのおかげで、真っ暗闇の中で深海生物のすぐそばで撮ることができました。生物発光を撮影するには、極めて高感度のカメラが必要です」と、グルーバー氏は語る。同氏は、ナショナル ジオグラフィックのエマージング・エクスプローラーで、ハーバード大学ラドクリフ研究所の研究員でもある。

暗闇の深海世界

 2017年11月、グルーバー氏は、米ロードアイランド大学のエンジニア、ブレナン・フィリップス氏らとともにメキシコ沖のサンベネディクト島から調査船に乗り込み、外洋へ向かった。キヤノンの超高感度カメラME20F-SHを磨きガラスでできた直径33センチの球体に入れた。深海の高い水圧からカメラを守るためだ。

ギャラリー:南極の氷の下、水深70mの海で驚異の光景を見た 写真12点(画像クリックでギャラリーへ)
生物発光するクロカムリクラゲ(Periphylla Periphylla)。胴体は鐘の形をして、横幅は約35センチ。水深約40メートルの海中を、発光しながら12本の触手を後に引いて泳ぐ。直射日光に当たると死んでしまうので、日の光を避け、プランクトンを食べて生きている。(PHOTOGRAPH BY LAURENT BALLESTA)

次ページ:クラゲを鮮明に撮影できた理由

  • このエントリーをはてなブックマークに追加