サメはクラシックよりジャズが好き、餌で「学習」

音に対する学習能力の研究で判明、オーストラリアのネコザメ

2018.05.15
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 しかし、音楽を聞き分けるのは難しいようだ。水槽の片側でジャズ、もう片方の側でクラシックを流すと、どちらに行けば餌をもらえるのかわからなくなってしまった。

 ナショナル ジオグラフィック協会が支援するボストン大学の生物学教授フィリップ・ロベル氏は、今回の研究には参加していないが、「ジャズの方が、サメたちが引かれやすい規則的なビートが多いようが気がしますね」と推測する。

 ブラウン氏はプレスリリースで、音楽を聞き分ける「課題は意外と難しいのです。サメたちは、それぞれの場所が特定のジャンルの音楽と関連づけられていて、さらにそれが餌と結びつけられていることを学習しなければならないからです」と言う。「もっと訓練すれば、そのことを理解できるかもしれません」

サメが賢い理由

 この研究から、サメの学習能力についていくつかの洞察が得られる、とビラ=ポウカ氏は言う。今回調べられたのはポートジャクソンネコザメだけだったが、専門家は、一部のサメは平均的な魚より知能が高いと言っている。

 サメの専門家のレナード・コンパーニョ氏は2008年に「スミソニアン・マガジン」に、「私がボートに乗っていると、ホホジロザメが水中から頭を出して、私の目をじっと見ます」と語っている。「彼らはアザラシやイルカなどの大きな脳をもつ社会的な動物を捕食しています。そのためには、ふつうの魚のような単純な機械的知能より高いレベルの知能が必要です」(参考記事:「ホホジロザメ 有名だけど、謎だらけ」

 ロベル氏は、人間による騒音公害が海の生息地に及ぼす影響を懸念している。幼いサメが棲む浅い海をボートが通ると、エンジン音がサメの聴力を傷め、将来、餌を探す能力が損なわれるおそれがある。(参考記事:「【動画】怪魚ウミガマの愛の歌、初の記録、研究」

「赤ちゃんの耳元でクラクションを鳴らすようなものです」とロベル氏は言う。「そんなことをされたら、おそらく聴力を失います」

 ビラ=ポウカ氏はプレスリリースの最後に、多くの市民がサメという生物とその知能についてよく理解するようになれば、サメに関する間違った思い込みをなくせるかもしれないと言う。(参考記事:「海のハンター イタチザメに会いたい」

「サメに関する理解が進めば、サメに対して好意的な世論が形成され、その保護に向けて市民と政治が動きはじめるかもしれません」

【参考ギャラリー】恐ろしくも美しきサメ、10選(写真クリックでギャラリーページへ)
大きな口をあけて鋭い歯を見せるホホジロザメ。人を襲うことで知られ、多くの海水浴客を恐れさせている。(PHOTOGRAPH BY DAVID DOUBILET, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)
[画像のクリックで拡大表示]

文=Elaina Zachos/訳=三枝小夜子

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