両生類を襲うカエルツボカビ、朝鮮半島原産と判明

「生物多様性にとって史上最悪の病原体」、234個のゲノムを比較

2018.05.14
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韓国からヨーロッパに輸入された、飼育下のチョウセンスズガエル。Bdが拡散した原因の1つが、世界規模のペット取引だ。Bdの致死性は強く、700種近い両生類に感染する可能性がある。(PHOTOGRAPH BY FRANK PASMANS)
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 今回の研究は、Bdのハイブリッド株の脅威も強調している。ブラジル固有のBd株と、危険なBdGPLが交雑可能なことは、これまでの研究ですでに知られていた。そして今回、Bdのアフリカ系統も同様であることが研究で示された。かつてはばらばらに存在した真菌が世界規模で混ざり合ったとき、どんな猛毒のハイブリッドが生まれるのか、誰にもわからないのだ。

「そのような事態は、個人的に最も恐れることの1つです」とリップス氏は懸念する。

両生類を守るためにできること

 BdGPLはもう米国に入っており、米国魚類野生生物局はその拡大を精力的に監視している。しかし、その近縁である種の侵入を阻む様子はない。2009年、Bdに感染していない個体を除き、全ての両生類の輸入を禁止すべきという請願がなされたが、2017年3月、同局はその検討を中止した。

 同局の漁業・水生生物保護責任者、デーブ・ミコ氏は、声明の中で次のように述べている。「Bd真菌はもう米国の環境に広く存在しており、両生類の輸入規制は、固有種の両生類保護においてほとんど意味がありません。……また、この真菌が州の境界を超え、今以上に広がるのを防ぐうえでも効果は限定的でしょう」

 Bdの輸入を禁じる新たな取り組みを推奨しているリップス氏は、「今回の論文は、問題はBdだけではないと述べています」と反論する。「被害をもたらす物が何か1つあったら、それに近い形態のものも入ってこないようにすべきです。そちらの方が、害が大きい可能性もあるからです」

 最低限、国際的に取引される両生類にはBd検査をすべきだとリップス氏は言う。今のところ、一貫して実施されてはいないからだ。例えば米国農務省は、ペットとして輸入される両生類に対し、健康状態の検査を求めていない。

 オハンロン氏とフィッシャー氏は、何より理想的なのはBdとBsalに最も効く対策をとること、つまり、世界中で両生類のペット取引を全面禁止することと言う。

「自然環境の中から採掘でもするように生き物を集めて、金もうけのために世界中に売る必要が本当にあるのでしょうか。リビングルームに飼育器を置いて、『ほら、クールだろ』と言うためだけに」とフィッシャー氏は問う。「一見、無害な娯楽のようですが、実は生態系全体を危険にさらしているのです」(参考記事:「シリーズ 地球のいのち 両生類の危機」

文=Michael Greshko/訳=高野夏美

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