巨大翼竜は飛べなかった? 島で独自に進化か

最大の下顎の化石を特定、ルーマニアの大型翼竜研究プロジェクトが進行中

2018.05.10
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 ルーマニアで相次いでいるこうした翼竜の発見は、古生物学者たちの助けになっている。翼を持った奇妙な姿の彼らが、有史以前の生態系にどうように適応していたのかについて、解明がより進むからだ。

「トランシルバニアで化石の採集は100年以上行われましたが、翼竜については破片が数点あるだけで、ほとんど何も分かっていませんでした。16年前までそのような状態だったのです」とブレミール氏。「この10年で状況は大きく変わりました。さまざまな地点から、50を超す化石標本が集まっています」

頭の長さは胴体の3.5倍

 今回発表された翼竜の化石は、現時点では巨大な顎の骨しか見つかっていない。もともと、この化石はトランシルバニアのハツェグ地域で1978年に発掘されたが、当初は翼竜だと認識されなかった。2011年、ブレミール氏はハンガリー、デブレツェン大学の古生物学者で、論文の共著者でもあるガレス・ダイク氏と共にブカレストの化石コレクションを訪ねたとき、翼竜との関連に気付いた。

ルーマニア、セベシュの岩石露頭から、ドラキュラと呼ばれる大型翼竜の化石の一部が顔を出している。(PHOTOGRAPH BY MATYAS VREMIR)

 種名が付いている翼竜としては世界最大級のハツェゴプテリクスも、このハツェグ地域で見つかっている。キリンほどの高さがあり、翼開長は最大で11メートル近くに達した可能性がある。今回研究された化石には、近縁であるハンガリーの翼竜、バコニドラコの顎と似ている点があった。このことから、ブレミール氏らの研究チームは、まだ命名前のこの種はハツェゴプテリクスよりわずかに小さいものの、頭は比較的大きく頑丈だったのではと考えている。

 上記の翼竜はいずれも、アズダルコ科という、独特なプロポーションの巨体を持つグループに属している。4本の肢で巧みに歩き、地上の獲物を狩っていた。(参考記事:「世界最大級の翼竜化石をモンゴルで発見、東大」

 米国、南カリフォルニア大学で翼竜を専門に研究するマイケル・ハビブ氏は、この科は基本的に「著しく大きな頭と首に翼がついているようなもの」とコメントする。北米のケツァルコアトルスなどはアズダルコ科の典型で、頭部の大きさが肩から股関節までの長さの約3.5倍もあった。(参考記事:「史上最大の翼竜、こんなに頭が大きかった」

「やせてひょろ長い種がいた一方で、がっしりしたたくましい種もいました。後者はより大きな獲物を捕っていたと考えられます」とハビブ氏。「化石が十分に得られていないので、推定している部分がかなりあります。しかし、今回の新しい翼竜は後者に当てはまると考えています。くちばしがピンセットのようなアズダルコ科の種に比べると、やや大きな動物を捕食する傾向が強かったでしょう」

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