【動画】尻尾のないクジラを目撃、増えている?

漁具などにからまったことが原因か、科学者ら憂慮

2018.05.10
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ギャラリー:集団で「立ち寝」をする巨大クジラ 10点(画像クリックでギャラリーページへ)
マッコウクジラが集まり、水中で直立したまま動かずにいる様子をとらえた写真が、インターネット上で人気を集めている。

 尾のないコククジラは、呼吸のために海面に上がってきた後、まるでコルク用の栓抜きのように右方向へ体をくねらせて、再び水中に潜るための推進力を得る。(参考記事:「クジラにも利き手が? 海面近くでは、ほぼ左回り」

 シュルマン=ジャニガー氏がとりわけ感心したというある雌クジラは、数年間にわたって幾度も目撃され、ときには子供を連れていることもあったという。「あのクジラがどうやってはるばるアラスカまで移動できたかはわかりません」とシュルマン=ジャニガー氏は言う。

 北米の海でからまり事故に遭うのが最も多い種はザトウクジラであることを考えると、尾のないクジラの目撃例にコククジラが多いのは不可解だ。

 米海洋大気局でからまり事故の救助活動を専門に行っているピーター・フォルケンズ氏はその理由について、コククジラが他のクジラほど尾に依存しておらず、尾がなくとも長く生き延びられるためではないかと考えている。

「シロナガスクジラやザトウクジラは突進して採餌を行う種であり、餌をとるのに力強い尾が必要なのです」

増えるからまり事故

 コククジラの目撃例に限らず、漁具などにからまるクジラの数は全般に増加している。2000年から2012年までの期間に、からまり事故の発生数は平均で10件だったが、2017年にはその数は31件にのぼった。(参考記事:「シロナガスクジラが漁具にからまる、救助難航」

 なぜこれほど増加しているのか、その理由はわかっていないが、人々が以前よりもそうした状態のクジラに気が付くようになったせいかもしれないとフォルケンズ氏は言う。

 一方で、クジラの数自体が増えているという事情もある。コククジラ、シロナガスクジラ、ザトウクジラの数は近年、大幅に増加している。(参考記事:「極めて異例、ザトウクジラ200頭が南ア沖に集結」

ギャラリー:クジラの世界 写真14点(画像クリックでギャラリーページへ)
ナショナル ジオグラフィックの写真家が撮影した、さまざまなクジラやイルカのフォトギャラリー。

 クジラの中には、漁具にからまった後で、無事に難を逃れるものもいる。2017年に米西海岸で報告のあった31件の事故のうち、6件は専門家がクジラを解放しており、また自力で脱出した例も数件ある。

 しかしながら、長期的な解決策を見つけるのは容易ではない。クジラがどのようにして漁具にからまるのか、さらにはどこでからまるのかも正確にはわかっていない。漁具にからまったクジラは発見されるまでに、すでに長い距離を移動している可能性があるためだ。(参考記事:「座礁したクジラの胃から自動車部品」

 カリフォルニア州沖にあるイチョウガニ漁場など、クジラのからまり事故の防止策を模索している例もある。イチョウガニ漁は、ロープで吊るしたかごを海底に設置して行うが、この仕掛けのせいで2016年には過去最多のクジラがからまり事故を起こしている。

 よりよい解決策が見つかってほしいとヴィーズベック氏は語る。漁網にからまったクジラは、「クジラとしての能力が制限されてしまいますから」(参考記事:「【動画】シャチが集団で巨大クジラに体当たり」

文=Katarina Zimmer/訳=北村京子

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