歯のない最古のクジラ化石、新種として発表

2750年前のヒゲクジラは、シロナガスクジラやセミクジラの共通祖先だった

2018.04.24
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ハワイ諸島、マウイ島沖を泳ぐザトウクジラの母子。ニュージーランドで見つかった新しい化石種と同様、ザトウクジラもヒゲクジラの1種だ。(PHOTOGRAPH BY WOLCOTT HENRY, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)
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 ニュージーランド南島で発見された化石が、ヒゲクジラのなかでも最古級のものであることが明らかになり、学術誌「ロイヤル・ソサエティ・オープン・サイエンス」に発表された。現生のヒゲクジラ類は、シロナガスクジラやザトウクジラ、セミクジラなど、クジラ目の中でも世界屈指の大型種が多い。(参考記事:「ヒゲクジラの祖先、新種の化石種を発見」

 今回の新種のヒゲクジラは、学名Toipahautea waitakiと名づけられた。マオリ語で「ワイタキ地方のヒゲクジラの祖先」といった意味だ。論文によると、化石の年代は2750万年前という。漸新世中期にあたる当時、ワイタキ地方は浅瀬に囲まれた群島で、海には豊かな生命があふれていた。

はるか昔、クジラは陸を歩いていた

 現生のクジラやイルカ、つまりクジラ目は、はるか昔は陸上にすむ肉食動物だった。それが5000万年前ごろに海で暮らすようになり、進化に伴って次第に両脚を失い、海での生活に適応していった。

「最初のクジラはみな、今のマッコウクジラのように歯が生えていました」と話すのは、論文の著者で、ニュージーランド、オタゴ大学のイーワン・フォーダイス氏だ。だが後に、一部のクジラは歯がなくなり、硬い毛のような板状のひげが口の中に発達。これを使い、オキアミなどの細かな餌をこし取って食べるようになった。(参考記事:「古代イルカの新種、ハクジラなのに歯がなかった」

【参考動画】ザトウクジラの出産 / ナショナル ジオグラフィックが助成するクリス・クリフォン氏は、ザトウクジラの出産を撮ろうと試みた。これまで記録されたことがなかったが、撮影チームはこのほど、胎盤の排出を目撃。貴重な光景をカメラに収めることに成功した。(解説は英語です)

 最初のヒゲクジラが現れた正確な時期はいつなのか。最近まで、科学者もほとんどわかっていなかった。知られている中で最古のヒゲクジラの仲間は、3600万年前のMystacodon selenensisで、ペルーで発見され、2017年に発表された。だが、この種にはまだ歯があった。一方、Toipahautea waitakiのあごは長く、歯がない。板状のひげを使って餌を取っていたと考えられている。

「太陽が東から昇るのと同じくらい確実に断言できますが、これよりも古いヒゲクジラの標本が、今後見つかるでしょう」とフォーダイス氏。「ですが今のところは、現生のヒゲクジラの系統が少なくとも2750万年前までさかのぼるとはっきりしました」

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