億万長者たちの宇宙開発競争 勝つのは誰?

火星移住に月の居住地化、宇宙旅行を実現しようとする企業家たち

2018.04.12
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「スターマン」と名付けられたダミー人形が運転するテスラ・ロードスターは、スペースX社のロケット、ファルコンヘビーに乗せられて打ち上げられた。ファルコンヘビーは、現在世界で運用中のロケットの中で最も強力なロケットだ。(PHOTOGRAPH BY SPACEX)
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 宇宙に目を向ける3人の億万長者がいる。イーロン・マスク氏は火星を目指し、アマゾンのジェフ・ベゾス氏は月に居住地を建設することを夢見る。そしてリチャード・ブランソン氏は、自ら起こしたヴァージン・ギャラクティックで豪華宇宙旅行を計画する。(参考記事:「宇宙ホテルを2022年に開業へ、12日間10億円」

 彼らをつき動かすものは何なのだろう。大金があるなら、地球をもっと住みやすくすることに費やすべきではないのか。クリスチャン・ダベンポート氏の新刊『The Space Barons(宇宙男爵、未邦訳)』は、熾烈な宇宙開発競争に挑む3人の億万長者の物語だ。ワシントンDCの著者宅で話を聞いた。

ジェフ・ベゾス氏とイーロン・マスク氏は、性格も正反対で、宇宙開発へのアプローチもまったく違うように見えます。2人の人となりと計画についてお聞かせください。

 イーロン・マスク氏はマーケティングの天才と言えます。メディアに取り上げられることが多い同氏ですが、その機会を自ら作り出しているところがあるからです。一方のベゾス氏は目立たず、秘密主義です。ベゾス氏が経営する宇宙開発ベンチャー「ブルーオリジン」は2000年に設立されましたが、ほとんど知られていませんでした。ベゾス氏もそう望んでいました。

 マスク氏は、早い段階から宇宙開発計画を発表し、注目を浴びます。2003年には、ロケット「ファルコン1」の実物大模型をワシントンDCのナショナルモール公園に運び入れ、NASAの気を引くことに成功します。目立つことで、短期間のうちに宇宙開発のキーパーソンとなったのです。ベゾス氏のモットーは「ゆっくり行けば順調に、順調に行けば速くなる」です。彼はスポットライトを浴びることを嫌い、慎重に時間をかけて着実に取り組むタイプと言えるでしょう。

彼らが宇宙を目指す理由の一つに、「地球は滅びゆく運命にある」という考えがあります。本来は、ビル・ゲイツ氏のように、地球を住みよくするために、彼らの富を使うべきではないでしょうか?

 良い質問です。イーロン・マスク氏は、隕石の衝突など、地球上の生命を絶滅させるような一大事が起きた場合、人類が恐竜と同じ運命をたどらないためにも、バックアップ計画を持つべきだと発言しています。コンピュータのデータをハードディスクにバックアップするように、火星に人類を送る――つまり人類をバックアップしようというのです。(参考記事:「米スペースX、壮大な火星移住計画を発表」

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