抗生物質が効かない「スーパー淋病」英国で感染例

淋病が不治の病に? 抗生物質の乱用で高まるリスク

2018.04.03
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淋菌(Neisseria gonorrhoeae)のクローズアップ写真。(PHOTOGRAPH BY LESTER V. BERGMAN, CORBIS VIA GETTY IMAGES)
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 1人の英国人男性が、史上最悪級の「スーパー淋病」に感染した。英国の公衆衛生局によると、一般的な抗生物質では治療できない淋病が発見されたのは、これが初めてだ。

 患者男性の氏名は公表されていないが、昨年、東南アジアで女性と性的な接触を持った際に感染したとみられる。その1カ月後に性病の症状が現れたため、2018年初めに英国の公共医療機関を受診したという。

 保健当局は淋病に効く抗生物質のアジスロマイシンとセフトリアキソンを使って男性を治療しようとしたが、効果がなかった。そこで現在、エルタペネムでの治療を試みている。結腸や直腸の外科手術後の感染症を予防するために用いられる抗生物質だ。効果があるように見えるため、男性は4月に再検査を受けて、エルタペネムがまだ効いているかどうか確認する予定だ。

 この男性には、英国内で定期的に性的な接触を持つ女性のパートナーが1人いるが、この女性のスーパー淋菌の検査結果は陰性だった。保健当局は男性の過去のパートナーをたどって感染者を探したが、現時点では感染者は発見されていない。

 英国公衆衛生局の性感染症部門長であるグウェンダ・ヒューズ氏は「アジスロマイシンとセフトリアキソンの両方、あるいは一般に用いられるほとんどの抗生物質にこれだけ強い耐性を示した症例は、今回が初めてです」と話す。「引き続き経過を観察し、ほかの薬物を使って効果的な治療を施して、さらなる感染が起こる可能性を最小限に抑えたいと考えています」

 淋病が「不治」とされたのは今回が初めてかもしれないが、近年、淋病は抗生物質耐性を着実に高めてきていた。2016年、国連が抗生物質耐性は「世界にとって、最も大きく、最も切迫したリスク」であると宣言した際、米国疾病予防管理センター(CDC)は、淋病が治療不可能な疾患になろうとしていると警告した。(参考記事:「鶏に乱用の抗生物質、耐性菌の温床と識者が警告」

【動画】細菌を利用して病気を治療できる?(音声は英語です)

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